2015年09月20日

南部鉄器の伝統を守りながらカラフルな急須を開発し、海外進出を加速    No3

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海外進出当初は、主に日本好き、東洋好きの人々に置物として購入されていたイワチューだが、現在では生活の中で楽しまれるようになったということだろう。

重厚で優しい鋳肌を活かして着色したカラフルな南部鉄器
作り方は変えないし、海外でも作らない。 クリスマスシーズンは通常の2倍ほども販売量が増える。プレゼントとして購入する外国人が多いからだ。自分で使った上で、よい品物だと思うから人に贈るのだろう。鉄器は大切に使えば、孫の代まで長持ちし、使えば使い込むほど味が出てくる。それがまた、ヨーロッパ人に好まれるのだという。  長く使うからこそ、急須の中に石
灰がたまったり、メンテナンスの必要も出てきたりする。その時、しっかりとした対応ができるように、岩清水は信用のある代理店を通して売っている。

「私たちの製品は大量生産できるものではありません。もちろん、現地の人々の好みや生活スタイルなどを取り込んだデザインを工夫していますが、どんなに売れようとも作り方は変えないし、海外で作ることもありません。
海外で作られたコピー商品もヨーロッパで出回っていますが、外見は似ていても中身は全く違う。だから、小売店を見て回ると、日本製を扱う店とそれ以外の店は明確に分かれています。購入するお客さんの層が違うからでしょう。その点ではコピー品は怖くありません。日本の伝統文化の質を守っていくことが私の仕事です」

海外に出ていなかったら今の岩鋳はない
最近では海外で岩鋳の急須を見た日本人観光客が、日本製と知って驚いて帰国後に注文するケースも少なくない。カラフルな急須が国内でも話題になり始めている。  「もし、思い切って海外に出て行ってい
なかったら今の岩鋳はなかったでしょう。やはり、基本がちゃんとできているからこそ、新しいことにも挑戦できたのだと思います。もちろん、今後も伝統文化は絶やさず守っていきます。その上でさらに新しいことを手がけていきたいですね」と、岩清水は祖父、弥吉の遺志をしっかりと引き継いでいる。

伝統を守りながら、革新を続けてきた岩鋳では現在、職人のなり手も多く、若い人が入社してくる。60歳のベテランを筆頭に、50代、40代、若手と6人の職人が伝統工法を守っている。今どきの姿格好の若者たちだが、熱心に鉄器づくりに取り組んでいるという。
 「昔は若い人の定着率が悪かったですが、今は長続きしています。地元で伝統工芸やものづくりが好きという若者も増えているようです。

鉄器づくりは1500度もの鉄を鋳型に注ぐなど危険な作業があるので、決して事故を起こさないように残業はさせず、休日はしっかり取ってもらうことを原則にしています。職人には健康第一で早く技術を身につけてほしい。しかし、いくら腕のいい職人を育てても、売り方を工夫しなければ会社として存続できません。それはもったいないことです。伝統産業だろうと、製造と販売のバランスを取ることが重要だと思います」

以前から国内向けにもデザインや大きさを変えたりIHクッキングヒーターにも使えることをアピールするなど、工夫してきたが、革新的な変更はできなかった。海外からの要望に耳を傾け、あえて挑戦したからこそ、カラフルな急須が生まれ、それが逆輸入されて日本でも人気になった。岩清水の伝統と革新への思いはさらに熱を帯びている。

 

 

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2015年09月19日

南部鉄器の伝統を守りながらカラフルな急須を開発し、海外進出を加速    No2

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海外進出もこうした弥吉の先見性から始まった。1960年代後半に、弥吉の弟である当時の専務が製品を抱えて船に乗り、ヨーロッパに渡って1カ月間売り歩いた。当時は微々たる量だったが、それでも日本や南部鉄器に興味を持つヨーロッパ人が鉄瓶や急須を求めて、岩鋳は国内と同じ製品を輸出していた。  岩清水が岩鋳に入社したのは1993年。それまで印刷会
社に勤めていた岩清水は、製造の現場で勉強した後、海外事業を担当するようになった。


転機となったのは、その3年後の1996年頃のこと。パリの紅茶専門店から岩鋳に「カラフルな急須を作ってほしい」という依頼があったのだ。だが、鉄器は黒いのが当たり前で、岩清水も職人たちも戸惑った。そんなものを作って、本当に売れるのかという不安もあった。 「鉄器は“鋳肌(いはだ)”と呼ぶ鉄の素材感をいかに出すかが重要で
す。鋳肌を活かしつつ、カラフルな色を出すのには苦労しました。しかし、そもそも黒色も着色ですから、色のバリエーションを増やすだけです。職人さんから反発があったということはありませんでした」

3年かけて着色法を開発
岩鋳の職人たちは3年かけて、着色法を開発。ウレタン樹脂を吹き付け、食品用顔料を使ってカラフルな着色を実現した。「急須で入れたお茶は口に入るものですから、安全性のために食品用の顔料を使っているのです」と岩清水は説明する。内側はフタの裏までホーロー引きだが、カラフルといえども鋳肌はちゃんと生きており、南部鉄器としての重厚さを保っている。  製品開発後、依頼
先の紅茶専門店に納めたところ、一躍ヨーロッパで人気となり、さらにアメリカにも上陸、最近では中国などアジアへも輸出している。

「現在は15カ国程度に輸出しています。年間売上(10億円)は国内と海外で半分ずつになりました。欧米では急須が最も売れており、国内の一般的な急須より一回り大きいものが人気です。ヨーロッパの方がアメリカよりカラフルな製品を好みますが、黒は基本的に根強い需要があり、他の色はまんべんなく売れています。中国では急須より、伝統的な鉄瓶が売れていますね。輸出の際には、壊れたりしないように梱包にも気を遣っています」と岩清水。

現在、ヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国、シンガポールに代理店を置き、代理店各社とも長い付き合いが続いている。岩清水は年に数回海外にわたり、代理店と緊密にコミュニケーションを取りながら、現地のニーズを吸い上げるようにしている。

ホームパーティーで様々な急須を楽しむ
海外向けの製品は岩鋳の専任デザイナーがデザインしているが、海外デザイナーが南部鉄器に興味を抱いて特別にデザインした製品もある。ニューヨーク近代美術館の喫茶スペースでは伝統的スタイルの急須「曳舟」が採用された。現在は使われていないが、これはデザイン性と実用性の高さが認められた結果である。急須だけでなく、シチューパンや鍋などキッチンウエアも少しずつ海外で売れるようになった。
海外では国内より価格が約2倍半は高くなる。

国内で6000円ほどの売れ筋の急須が、1万5000円程度になる。決して、安い値ではない。基本的に紅茶用のティーポットとして使われており、下からローソクで温めながら飲む。 「欧米では、色と形を変えながらい
くつも急須を使うお客さんが少なくありません。調べると、岩鋳の急須はホームパーティーで話題として盛り上がるらしいのです。パーティーのたびに色や形の異なる急須で楽しんでいるのでしょうね。ヨーロッパらしい楽しみ方だと思います」

 

 

posted by タマラオ at 07:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記