2014年04月29日

結婚でオンナの決断、農の新しいカタチ  No2

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夫婦で別々の経営の栗本氏と渡辺氏
つぎに紹介する夫婦は、8月に結婚した栗本めぐみと渡辺裕介。栗本は高校のころから友人に「将来は農家になる」と話していた。東京農大で学んだあと、「ほかの農家にないもの」を身につけるため、青果物卸に就職。食品の貿易会社でも働いたが、農業への思いは変わらず、2009年に静岡県御前崎市で就農した。  経営を分けた栗本氏と渡辺氏の選択  と書くと、
「西口敏男とそっくり同じ経歴ではないか」と思われそうだが、ここから先がまったく違う。

じつは栗本と渡辺の夫婦は同じイチゴをつくっているにもかかわらず、経営は夫婦で別なのだ。2人の栽培ハウスは車で1、2分しか離れておらず、見上げると同じ風力発電の巨大な風車が見える。だが栽培も売り先も会計も独立だ。
「はじめは、いけすかないやつと思いました」。渡辺は栗本と知り合ったころの印象をこう語る。2人は同じ静岡県の研修制度を使って就農しており、栗本のほうが3年先輩。

渡辺が研修しているとき、先に独立した栗本の言葉が人づてに聞こえてきた。「最近の研修生は考えが甘い。あんなんじゃできない」  栗本は辛口の言葉の真意を、のちに渡辺に話す。「私は
研修中から死に物狂いでやってきた」。だから「この作業を、パートを使ってやったら、どれくらいの時間がかかるだろう」「どうすれば利益が出るだろう」など、実戦≠想定しながら研修を受けてきた。

そんな栗本にとって、ほかの研修生たちは歯がゆく見えた。「たんに赤いイチゴを実らすだけなら、素人でもできる」。肝心なのはイチゴのリズムに振り回されず、自分のペースで栽培し経営することだ。それができないから、多くの研修生は「改善方法がわからず、就農したあと暗くなって文句ばかり言う」。  もともと青果物卸や食品商社で働いたのも、自分で
農業をやるための準備の一環だ。独立したあとは農協だけに頼らず、つちかった人脈を生かしてスーパーにも直接販売した。

いまや地元で有力な和洋菓子の製造・販売チェーンが、彼女のために商品開発する。そのときも彼女は「自分のイチゴを使ったお菓子をつくってくれないなら、出荷しない」という意気込みで社長に直談判した。 こうした努力を重
ね、ブランドを高めてきた彼女にとって、結婚したから経営を1つにする選択肢はありえなかった。だから経営上はいまも「栗本」の姓のままで通す。「ラーメン屋を別々に営む2人が結婚したら、簡単に経営を1つにしますか」。なのになぜ農業はそうみてもらえないのか、と彼女は考える。

女性の農業参入を阻む“見えない壁”に挑む
一方、夫の渡辺も、独立を目指して研修した点では同じ。ファミレスの店長を長年務めながら、「いつか自分で事業を興したい」という思いをあたためていた。そんな渡辺の目にとまったのが、就農支援制度だった。つまり渡辺にとって農業は、起業という夢を実現するために選んだ仕事だ。こんな2人にとって、経営を分けるのはごく自然な選択だった。  では子どもが産まれたらどう
するのだろう。そう尋ねると、「もうさんざん聞かれた」という表情で答えた。

「病気と比べると、出産は計画的にできる」。そのために人の手当も含め、準備しておくのが経営だろう、と彼女は考える。「なぜすぐ夫に栽培を手伝ってもらうという話になるんだろう。家事などの生活面をフォローしてくれればいい」  結
婚を機に独りぼっちの農作業から家族経営へと歩を進めた西口生子と、夫とは独立して経営することに挑む栗本めぐみ。2人の選んだ農業の形は、見た目は違う。

だが、農業という極めて保守的な性格の色濃い産業が女性の参入を阻んできた“見えない壁”に向き合っているという面では共通だ。  農業を再生させるためには、農業に夢を抱き、そのとび
らをたたく若者を増やすしかない。その人が男か女かに関係なく、どうすればほかの産業のように活躍できるチャンスを増やせるか。2組のカップルの挑戦は、もっと多くの若者を農業に導いてくれるかもしれない。

 

 

posted by タマラオ at 06:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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