2014年03月25日

快進撃・アップル社支える「日の丸工場」の底力   No3

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高シェアを誇る“縁の下の力持ち”
「リスト発表直後に某米社購買部長さんと面談したとき、最初にこのニュースが話題になった」と勝山社長。戦前の長野県は、輸出産業の花形だった生糸の一大産地だったが、戦時中に都市部から移転してきた工場がベースとなって、戦後は電子部品・精密機器と、これまた日本のお家芸の拠点となっている。同県南部の伊那市も養蚕地帯から様変わりし、現在は就労人口の約7割が製造業の従事者とされる。先のアップル社のリストに載った一社、ルビコンは、52年にその伊那市で操業を開始。

現在、従業員数約630人、年商は704億円(10年9月期)。アルミ電解コンデンサーを年に約80億個生産し、世界シェア約7割を誇る。その自信もあってか、「コンデンサーを使わない電気製品はないし、(秘密にしても)使い道はだいたいわかるから」と、取材に応じてくれた。「日本の電機メーカーさんの主な製品にはほとんどうちのが入っています。アップルさんとは、01年から十数年のお付き合いですね」と、勝山修一社長は笑顔を見せた。

「当時、ESR(電気抵抗)を従来の約3分の1に減らした画期的なコンデンサーを開発したことが取引の契機です。ほとんどのメーカーさんに紹介しましたが、アップルさんにも非常に興味を持っていただきました」(宮原拓也・技術企画部長)

98年のiMac発表で奇跡の復活を遂げたアップル社と、既存品を“全とっかえ”しかねない勢いだったルビコンとの取引はごく自然の成り行きだろう。「今、iPhoneの充電器一個につき、うちのコンデンサーが3本使われています。iPhoneは従来のケータイより使用電力が多く、家庭、職場、携帯用と従来の3倍の売り上げが期待できる」(勝山社長) パソコンを皮切りにデジタル機器の薄型・小型化・高性能化が進むとともに、コンデンサーも急速に小型化している。

ルビコン製コンデンサーの一例
「アップルさんとの交渉は、だいたい我々が米カリフォルニア州クパティーノの本社に出向いて、主に技術的な打ち合わせや価格、新商品のプレゼンテーションなどを行います。コンピュータのマザーボード周辺について、CPUを起動する電源関係のデザインをしている方とお話しする機会が多い」(宮原氏)今は設計も製造も台湾などの企業に投げてしまうメーカーが多い中、「今も少し毛色が違うというか、新しいアイデアを盛り込みながら独自の考え方で設計を進めている印象です。

細かいところまでは教えていただけませんが、他社が使わないような低ESRの部品を採用して回路の効率を高めたりしている。エンジニアどうしですから、極端に無理な要求がくることはありませんよ」(同) 半導体のように注目される“花形”部品と違い、コンデンサーや抵抗器は自らは動かぬ受動部品と呼ばれる。地味な存在だが、これなしでは能動部品も動かない。同社は高シェアを誇る“縁の下の力持ち”という手堅いポジションを維持する。

「電子部品はまだまだ日本が強い分野。輸出産業の中で国内生産の比率が一番高いのでは。今は為替レートが海外生産の比重を上げるよう迫っている」(勝山氏) 為替が80円台を維持すれば後は何とかやっていける、と勝山社長は言う。「我々は72年に海外生産を始めている。開発は日本、生産は海外というのも一つのやり方です。しかし、それは日本経済にいい結果をもたらさない。やはり開発部門と生産部門は、同じ場所で一緒にやっていないと、本当の意味で製造業の水準は維持できません」(同)

逆風に柔軟に対応しつつ、独自の哲学を持ち、技術を磨き続ける。しぶとく生きる彼らに学ぶところは多いようだ。

 

 

posted by タマラオ at 04:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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