2014年03月14日

頸椎の難手術に立ち向かうスーパードクター・木原俊壱医師 No3

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「首の痛みやコリ、詰まり感、あるいは手のしびれ。そういうものって本人しか苦しさや痛みが分からないんですね。この病院に来たらなんとなく患者さんの気分が明るくなり、帰るときもこの病院に入院して正解だったと思われる。そんな病院を目指していきたい」 手術に使う器具類もすべて木原さんが独自に開発しました。特に
「K-method」で使う人工骨は3年の試行錯誤の末に完成させたもの。従来のものにはなかったカーブをつけることで、強度が30%アップしました。

実はこの人工骨は、意外なものからヒントを得て実現したそうです。それはお城の石垣で見られる武者返しと呼ばれる構造。石垣のカーブは敵の侵入を防ぐと同時に荷重を分散させる役割を果たしています。 「武者返しだと垂直
の荷重が水平に逃げるため強固に支えられると同時に、下の土台も崩落しにくいという良さがあるんです」この武者返しの構造を採用し、丈夫な人工骨が誕生したのです。 ある日、木原さんにとっても極めて難
しい手術が始まろうとしていました。

患者は竹中武彦さん(65歳)。10年前から手に違和感を覚えていましたが、最近になり指の感覚が失われてきたと訴えます。 30年以上、指先を使う仕事を続けてきた竹中さんですが、その
命とも言える手に障害が出だし、仕事を辞めようか悩んでいました。 「仕事をするのが嫌になっていました。しんどくて気力が沸かないというか。辛抱するしかないなと思ってやっていました」(竹中さん) 病名は国の難病に
指定されている後縦靱帯骨化症。

靱帯が厚くなり、骨のように硬くなって神経を圧迫しています。本来は太さが小指ほどある神経が、竹中さんの場合は圧迫されて1oにまでなっていました。 「これだけ重症だとあらゆるシーンで一つの
ミスも許されない」木原さんでも経験したことがない難手術。神経が限界まで圧迫されているため、骨を削るわずかな熱や振動でさえ脊髄損傷を引き起こす可能性があります。 手術が開始してから想定よりも長い
時間が経過したところで、ようやく骨のカットが終了。

神経が圧迫されないよう人工骨でスペースをつくる作業に入りました。カットに時間が掛かったぶん、素早く移植する必要があります。 5時間後に手術が終わり、木原さんは竹中さんの病室に
向かいます。 「竹中さんいかがですか?」(木原さん) 「術前と術後の感覚が根本的に違う。布団のざらつきが指で分かるようになりました」(竹中さん) 竹中さんはベッドの横にあったティッシュで
涙を拭います。 「本当に辛かったです。今日まで……」(竹中さん)

手術から1か月、竹中さんは病いが発症する以前と同じように細かい作業ができるまで回復しました。手術が無事成功したのです。 最後に木原さんはこう語ってくれました。 「一人の外科医
の腕自慢だけで『K-method』を終わらせたくないということが、今の心からの願いなんですね。これから後継者を育てたり、あるいは機械などのさまざまな環境を整えたり。そういうことに情熱や夢を持っていきたい」

今日もまた、患者さんの人生を取り戻す手術に立ち向かっている木原さん。患者さんを救う夢の道程は、これからも長く続いていくことでしょう。

 

 

posted by タマラオ at 05:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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