この記事は2年前の2010年1月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙に掲載されたものですので、ご存知の方も多いかも分かりませんが、2年後である今、目にしても違和感なく日本の姿を示しているようなので紹介したい。
20年前、世間一般の常識ははっきりしていた。日本が世界一成功している高所得国だということだ。その後の20年間に何が待ち受けているのか予想できた人はほとんどいなかった。それが今では、日本が長期衰退に陥っているという
意見が常識だ。では、一体何がどこで狂ってしまったのだろうか。日本の新政権は何をすべきなのか。そして、我々は日本の経験から何を学ぶべきなのだろうか。日本の経済状況は全体像を捉えて見る必要がある。
日本を訪れた英国人は、日本の鉄道や食事の質の高さを見て、自分が大変な後進国からやって来たことに気づかされる。もしこれが衰退なのだとしたら、大半の人はそれを歓迎するだろう。
だが、これは間違いなく衰退だ。過去20年間の日本経済の成長率は年間平均1.1%どまり。経済史の専門家であるアンガス・マディソン氏によると、購買力平価で見た日本の国民1人当たりのGDP(国内総生産)は、
1950年に米国のレベルの20%だったものが、1991年のピーク時には85%に達した。それが2006年には72%に低下している。
日経平均株価の時価総額は実質ベースで、20年前の水準の4分の1に落ち込んでいる。最も恐ろしいのは債務だろう。1991年にはネットでGDP比13%、グロスで同68%だった一般政府の債務は、
2010年にそれぞれ115%、227%に膨らむ見通しだ。
日本を苦しめる「バランスシートデフレ」
一体何が狂ってしまったのか? 野村総合研究所のリチャード・クー氏は「バランスシートデフレ」を指摘する。クー氏によれば、過剰債務を抱えた家計や企業が債務返済に専念する国の経済には、以下の3つの特徴がある。
まず、信用(クレジット)と銀行資金の供給の伸びが止まる。それも銀行が貸したくないからではなく、企業と家計が借りようとしないからだ。
次に、通常の金融政策が概ね効果を発揮しない。そして、民間部門がバランスシートを改善しようとするために、政府が最後の借り手となる。その結果、民間部門のバランスシート調整が終わるまで、金融政策と
財政政策を「正常化」させようとする努力がことごとく失敗するのである。
2012年01月05日
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