2015年09月19日

南部鉄器の伝統を守りながらカラフルな急須を開発し、海外進出を加速    No2

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海外進出もこうした弥吉の先見性から始まった。1960年代後半に、弥吉の弟である当時の専務が製品を抱えて船に乗り、ヨーロッパに渡って1カ月間売り歩いた。当時は微々たる量だったが、それでも日本や南部鉄器に興味を持つヨーロッパ人が鉄瓶や急須を求めて、岩鋳は国内と同じ製品を輸出していた。  岩清水が岩鋳に入社したのは1993年。それまで印刷会
社に勤めていた岩清水は、製造の現場で勉強した後、海外事業を担当するようになった。


転機となったのは、その3年後の1996年頃のこと。パリの紅茶専門店から岩鋳に「カラフルな急須を作ってほしい」という依頼があったのだ。だが、鉄器は黒いのが当たり前で、岩清水も職人たちも戸惑った。そんなものを作って、本当に売れるのかという不安もあった。 「鉄器は“鋳肌(いはだ)”と呼ぶ鉄の素材感をいかに出すかが重要で
す。鋳肌を活かしつつ、カラフルな色を出すのには苦労しました。しかし、そもそも黒色も着色ですから、色のバリエーションを増やすだけです。職人さんから反発があったということはありませんでした」

3年かけて着色法を開発
岩鋳の職人たちは3年かけて、着色法を開発。ウレタン樹脂を吹き付け、食品用顔料を使ってカラフルな着色を実現した。「急須で入れたお茶は口に入るものですから、安全性のために食品用の顔料を使っているのです」と岩清水は説明する。内側はフタの裏までホーロー引きだが、カラフルといえども鋳肌はちゃんと生きており、南部鉄器としての重厚さを保っている。  製品開発後、依頼
先の紅茶専門店に納めたところ、一躍ヨーロッパで人気となり、さらにアメリカにも上陸、最近では中国などアジアへも輸出している。

「現在は15カ国程度に輸出しています。年間売上(10億円)は国内と海外で半分ずつになりました。欧米では急須が最も売れており、国内の一般的な急須より一回り大きいものが人気です。ヨーロッパの方がアメリカよりカラフルな製品を好みますが、黒は基本的に根強い需要があり、他の色はまんべんなく売れています。中国では急須より、伝統的な鉄瓶が売れていますね。輸出の際には、壊れたりしないように梱包にも気を遣っています」と岩清水。

現在、ヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国、シンガポールに代理店を置き、代理店各社とも長い付き合いが続いている。岩清水は年に数回海外にわたり、代理店と緊密にコミュニケーションを取りながら、現地のニーズを吸い上げるようにしている。

ホームパーティーで様々な急須を楽しむ
海外向けの製品は岩鋳の専任デザイナーがデザインしているが、海外デザイナーが南部鉄器に興味を抱いて特別にデザインした製品もある。ニューヨーク近代美術館の喫茶スペースでは伝統的スタイルの急須「曳舟」が採用された。現在は使われていないが、これはデザイン性と実用性の高さが認められた結果である。急須だけでなく、シチューパンや鍋などキッチンウエアも少しずつ海外で売れるようになった。
海外では国内より価格が約2倍半は高くなる。

国内で6000円ほどの売れ筋の急須が、1万5000円程度になる。決して、安い値ではない。基本的に紅茶用のティーポットとして使われており、下からローソクで温めながら飲む。 「欧米では、色と形を変えながらい
くつも急須を使うお客さんが少なくありません。調べると、岩鋳の急須はホームパーティーで話題として盛り上がるらしいのです。パーティーのたびに色や形の異なる急須で楽しんでいるのでしょうね。ヨーロッパらしい楽しみ方だと思います」

 

 

posted by タマラオ at 07:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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