2015年08月18日

潜入、ファナックの「主戦場」 No1

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150605/283958/?rt=nocnt

初めて黄色い壁の内側に入る機会を得たのは4月14日。ファナックが取引先向けに開く「新商品発表会(オープンハウス)」の取材だった。

「新製品」じゃなくて「新商品」ね
「10時半に新幹線の三島駅に集合ね。ここからファナックが取引先向けにバスを用意しているから一緒に乗っていきましょう。2人で申し込んでおいたからね」先輩との前日の約束通り、10時半に駅に到着するも姿は見えない。電話にも出ない。駅前で待つ2台のバスは既に関係者を乗せ、発車準備を整えている。うち1台は既に満席だ。もしかして先輩寝坊か。一人であの黄色い会社を取材するのは正直心細い。どうしようとオロオロしていると、バスが発車するギリギリの時間に電話が鳴った。

「何やってるの?私もう満席のバスの方に乗っちゃってるよ」。 まだ席が空いていた2台目のバスに慌てて乗り込む。あと少し電話がかかってくるのが遅かったら、取り残されるところだった。 三島駅からファナック本社までは1時間程度。「ファナック通り」から敷地に入り、林を抜けると会場が見えてきた。エントランスは取引先の関係者や黄色いジャケットを羽織ったファナック社員でごった返している。遠方から訪れる取引先も多そうだ。

「こうした新製品発表会は頻繁に開かれているんですか?」「いいえ、年に1度だよ。国内だけじゃなくて、国外からも取引先を招いて、新商品や試作機を紹介しているの。ちなみに『新製品』じゃなくて『新商品』発表会ね。
ファナックでは『商品』と『製品』を明確に区別しているらしいわ。『製品』はただ作ったもの。抜群の競争力と高い利益を生み出す製品だけを『商品』と呼ぶんだって」 相変わらず先輩の「ファナック豆知識」はとどまることを知らない。

もう先輩だけで特集を作れるんじゃないだろうか。存在意義を自問していると、横で先輩がささやいた。「この発表会に4回ほど来てるけど、最近ちょっと雰囲気が変わったんだよね。うまく言えないんだけど、明るくなった感じがする」。
先輩がほのめかした「ファナックの変化」、これは特集の主要テーマである。詳細は本誌をご覧いただきたい。

「落穂拾い」が稼ぎ頭に
発表会場に足を踏み入れる。筆者には見慣れぬ機械が所狭しと並べられている。巨大なロボットが自動車を軽々と持ち上げ、ドリルが猛烈なスピードで正確に金属を削っている。
黄色い制服のファナック社員と取引先関係者とでごった返す新商品発表会場 「さて、これが先々週に少し話した『ロボドリル』ね。この機械、普通の工作機械より少し小さいの。主軸のサイズから『主軸30番』と呼ばれていて、昔はあまり作りたがる会社がなかったんだ」

ファナックの産業機械「ロボドリル」
「工作機械メーカーが主力で作っているのは、もっとサイズが大きい『主軸40番』なのね。40番は、仕様にもよるけど、数千万円するのが当たり前。一方で、30番のロボドリルは数百万円と単価が安い。だから『うまみが少ない』機械って言われていたわけ。ファナック自身も画家ミレーの作品になぞらえて、ロボドリルは『落穂拾い』だと公言していたよ」 もっとも、今はこの「落穂拾い」の機械がファナックの稼ぎ頭に育っているらしい。なぜなのだろうか。疑問を察したかのように先輩は続けた。

「うまみが少ないはずのロボドリルなんだけど、台湾とか中国でEMS(電子機器の受託製造)という業態が成長したことで流れが変わったのね。米アップルが『iPhone』を開発したでしょ。
彼らはデザインを重視して、スマートフォンのケースをプラスチックでなくアルミを削り出して作ることにした。これに韓国のサムスン電子や中国の新興スマホメーカー、小米(シャオミ)など、多くのスマホメーカーが追随したのね。金属を削ってケースを作るのが一般的になったわけ。これで安くてアルミを正確に削れるロボドリルの需要が一気に伸びた」

 

 

posted by タマラオ at 07:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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