2015年08月16日

黄色い最強製造業、ファナックの謎 No2

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あれが工作機械。実際には工具を付けた軸が動いて金属を削っているんだけど、X軸方向にこれだけ、Y軸方向にこれだけ、Z軸方向にこれだけってのを、数値で制御し続けているんだよね。だから機械は、加工データ通りにモノを削ることができる。それを司っているのが、NC。『Numerical Control(数値制御)』の頭文字だよ。ファナックの場合はモーターも作っていて、コンピューター部分とセットにして『NC装置』って呼んで販売しているの」

引き気味の筆者に満足気な先輩
次々と登場する専門用語についていくのがやっとだ。適当に相槌を打っていると、予定よりも早く忍野村に到着した。中央自動車道を降りて10分ほど一般道を走ると、突如林の中から黄一色に塗られた工場群が姿を現す。黄色いのは建物だけではない。通りを往来するクルマもトラックも黄色い。歩道には「ファナック通り」と書かれた看板が立っている。「ファナック通り」を往来する黄色い自動車とトラック
「うわ、なんか全部黄色い!なんで工場もクルマもこんな色してるんですか」

異様な光景に引き気味の筆者を見て先輩はなぜか満足そうだ。「そう。黄色はファナックの『戦いの色』なのよ!ファナックの実質的な創業者、稲葉清右衛門氏がそう定めて、何でも黄色に統一したのよ。たとえば・・・」 クルマを下り、先輩の説明という名のウンチクを聞きながらそぞろ歩いていると、黄色い軽自動車が横切った。間髪入れずに先輩が叫び出す。「あ、見て!『ハスラー』まで黄色いじゃない!私、ハスラー好きなんだよね(注:ハスラーはスズキのヒット車)。

クルマも全部黄色いけど、よく見ると車種はバラバラなんだよ。沢山の自動車メーカーにロボットなんかを納入しているから、色んな会社のクルマを購入しているんだって」 先輩の興奮が収まらない。目を輝かせ、小さく飛び跳ねながら今度は自動車向けロボットの話を始めた。「ファナックはロボットで世界シェア20%を占める大手なの。特に強いのは米自動車メーカー。ゼネラル・モーターズとかフォード・モーターとか、いわゆる『米国ビッグ3』向けね。YouTubeでフォードの紹介VTRを見ると、出てくるロボットが黄色いでしょ。

一方で、トヨタ自動車の工場だと、川崎重工業や不二越のロボットが多く目に付くよ。ドイツ系の自動車メーカーはオレンジ色のロボットで知られるクーカ(KUKA)製を採用することが多いけど、最近は変わってきてるみたい」 先輩は新聞記者として5年前からファナックなど機械産業の取材を続けてきた。ビジネス編集部に出向中の今も、特集を組むために準備を進めてきたそうだ。たぶん、その知識をシェアするのが嬉しくてたまらないのだろう。

「この柵を見て。英国スコットランド、エディンバラのホリールード宮殿にあるメアリー女王の浴室脇のフェンスを清右衛門氏が気に入って、参考にしたそうよ。これでファナックは『最新鋭の技術と森の自然』を守っているんだって」 先輩は工場を囲う柵にまで説明を加え出した。ファナックそのものへの関心すらまだ薄いのに、ファナックのフェンスにまで興味を持てと言われても無理な相談だ。この先輩に特集校了までついていけるんだろうか。不安は膨らむばかりだが、まずはフェンスとは別の話題を振らなければ。

「もしかして、ファナックは忍野村以外にある工場も全部黄色で統一してるんですか」 「そうね。少なくとも国内拠点の壁は黄色いよ。そもそもファナックの場合、工場はノックダウン生産を除いて国内だけなの。日本メーカーが生産拠点を海外に移して『地産地消』を進めている中で、国内一極生産を貫く会社は珍しいんじゃない?忍野村が一番大きな拠点で、49万坪の敷地に20棟以上の工場がある」

確かに珍しい話だ。今でこそ円安が進み、生産拠点を国内に戻す動きが出始めているとは聞く。ただ長年続いた円高局面でもファナックは国内生産を貫いたらしい。どうやら変わっているのは外観ばかりではないようだ。 「あとは、鹿児島県霧島市にもセンサーの工場があるよ。比較的新しいところでは2012年に筑波山に近いつくば地区(茨城県筑西市)にロボドリルの工場を建てている。

当時はあんまり景気もよくなくて、多くの人が投資に懐疑的だったんだけど、2014〜2015年にかけて盛り上がったスマホ需要を掴むことができたのは、この工場のおかげと言われているよ。今年2月には、栃木県壬生町に1000億円規模の工場投資をすると発表したよね。自社株買いを求めるサード・ポイントへの回答とも言われたけど、実はあれは昨年から計画されていたことなんだよ」 景気の良くない時に投資したのはなぜなのか。

 

 

posted by タマラオ at 06:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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