2015年07月28日

「下仁田納豆」が教えてくれる日本の食の未来 No3

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下仁田納豆の味を決める「素材」と「加工」 均一に並ぶ豆は日本の職人技
下仁田納豆の特筆すべき点はその味だ。納豆独特の粘りが強く、豆の旨味も一際である。元々、納豆は精進でも用いられてきたが、たしかに炊きたての御飯とあわせると肉料理に匹敵する満足感がある。

──納豆の味の違いはどういったところで出てくるのでしょうか?
「師匠から『9割は素材で決まる』と教えられました。まずは大豆──素材です。国産であることはもちろん、北海道産や地元群馬県産などいいものを選んでつかっています。ただし、この話には続きがあって『エジソンは99%の努力と1%のひらめき、と言ったがこれは努力が大事という意味じゃないんだぞ』としばらくして教えられました。『1%のひらめきがなければ製品にはならないという意味だ。他の部分を疎かにしてはもちろんいけない』と。

納豆の味は素材で決まる部分は確かに大きいです。でも、他の工程も疎かにはできません」


納豆の室。温度と湿度を保つために必要以外の開け閉めは厳禁
下仁田納豆のもう一つの特徴は、炭火をつかった昔ながらの室だ。七輪にのせたやかんからの蒸気で温度を管理するという昔ながらの方法とは反対に、大豆を煮る工程には新しい機器を使い緻密な時間と温度管理により、大豆特有のエグみやアクを抜く。発酵する前の柔らかく煮こまれた豆を試食させてもらったが、口に入れると余韻の長い甘さが広がった。「この煮豆の賞味期限はせいぜい半日です。昔の人はこの煮豆をできるだけ長く食べたいと納豆に加工したのではないでしょうか」

──納豆は豆腐などと並んでスーパーなどの小売店からの値下げ圧力が高い商品として知られています。小売側からの価格要求などはありませんか?
「あることはあります。豆腐や納豆が価格競争に晒されるのは同じパッケージで売られているために、差別化がしづらいということがあると思います。ただ、うちは幸いなことにパッケージの形が他社のものと違いますので、比較的ラッキーだったのかな、と」

──パッケージの話が出ましたが、商品を購入して開封してみると、きれいに豆が並んでいることに驚きました。どういう秘密があるのでしょうか?
「ひとつひとつ丁寧にパートさんがやっている、というのが本当のところです。師匠からある時、『君のところの室にはねずみがいる。退治してこい』と言われたんです。当然、いるわけないのですが、次に行った時にも『やっぱりいる』と言うのです。どういうことだろう、と思っていると『この三角形の隅に豆が入っていない。豆腐の角に頭をぶつけて死んじまえっていう言葉があるだろう。それで言うならうちの豆腐はすべて角があるので死ねる。

スーパーの安い豆腐なら角が欠けていても安いからいいか、で収まる。でも、値段をとるなら駄目だ』と。『手作りだから、世界でひとつしかない、バラバラでいいっていう言い訳は駄目なんだ、と。日本の職人技はそういうものじゃない。たくさんのものを寸分違わず同じにつくるのが技術なんだ』」たしかにこの連載で職人の技術に触れることがあるが、日本の職人は天然素材という不均一なものに手間暇と技術を注ぎ込み、均一にし、隅と縁を整え、美しい製品に変えていくことに気づかされる。

「細かいところに心が行き届いていてはじめて、お客様に満足していただけるんじゃないでしょうか」

 

 

posted by タマラオ at 05:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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