2015年07月20日

「かんずり」はタバスコを超えるか No3

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「『かんずり』というのはうちの登録商標。製法特許も2回、とりなおしているんだけど、海外でも韓国、中国、シンガポール、アメリカ、このあいだEUでも登録商標をとることができましたから、今後は海外のお客様にも知っていただけると思います。でも、少しずつですよ。タバスコのように世界制覇もできるんじゃないか、と思いますが、そもそものはじまり──じいちゃん、ばあちゃんがすりこぎでやっていたっていうマニファクチャー(手工業)の部分を忘れないようにしたい」

材料から地域に根差し、愛される――地元企業『かんずり』の高い競争力
妙高新井はかんずりの街だ。地元の焼き鳥店に行くと、大抵、かんずりが添えられているという。一つの会社が地方の特色まで形づくっている好例である地方の時代と呼ばれて久しく、地域創生は政府にとって重要な戦略と位置づけられている。だが、その内実も方向性も見えないままだ。そもそも国主導による地域振興などありえないことは明白だ。『かんずり』のための唐辛子をつくる農家には元々、たばこを生産していたところもあるそうだ。

ご存じのようにたばこが下火になり、唐辛子はその後継作物というわけである。有限会社かんずりは会社として大きくはない。しかし、地域に根ざしたこうした会社の存在は貴重で、材料をすべて近隣でまかなっていることからも経済的な貢献は大きい。僕が思い出したのはマイケル・シューマンの『スモールマート革命』(明石出版)という本だった。彼らは規模の小さい地元企業が地域経済に良い影響を与え、環境にも寄与し、さらには非地元の企業よりも競争力が高いことを証明している。

『有限会社かんずり』は日本でのその生きた見本と言える。
併設されている販売所には「生かんずり」が売られている。これはネットの直売で入手することも可能だが、あらいの道の駅の他、数件でしか売られていないレア商品で、県外で入手できる場所は限られている。通常のものとは香りが異なり、唐辛子調味料としては個人的な最高峰の味わいだと思う。

──生かんずりを販売する場所を限定している理由を教えていだだけますか?
近くの有名店『とん汁たちばな』にて。豚の脂を中和してくれ、すこぶる味が引き立つ。余談だがかんずりは旨味が多いのであらゆる料理に使える。豆板醤よりもハリッサ(中近東の唐辛子調味料)よりも個人的にはずっと美味しいと思う
「生かんずりというのはびん詰めにしてから熱処理をしていない商品です。熱処理を施していないため、商品管理には気を使います。発酵を止めていないからです。従って信頼できるところしか卸していません」

販売所のレジの後ろには「オンリーワンの自覚と誇りをもって、一本の「かんずり」を世に出そう」とある。「オンリーワンの自覚と誇りと忍耐」というのは東條社長が大事にしている言葉で社訓でもある。「例えばうちは地元産の唐辛子しか使いません。税関を通るから乾燥品が多いんだけど今、唐辛子は98%が輸入品ですよね。何十年も前に商社の人がいいのがあるよ、とコストの低い輸入唐辛子をうちにも持ってきたこともあったけど、味や品質を守るために断りました。

3年という時間をとることで出来が安定するんですが、それでも唐辛子の出来は毎年異なります。出来上がったものが、辛すぎたり、酸味が強すぎた場合はブレンドする場合もあります。そうするとワインのブレンドと同じで味がまとまる。そういうノウハウの積み重ねもできてきたんだね(笑)」 『時間を食べるつもりで食べてほしい』と東條社長は言う。
材料から製法まで細かな心配りの積み重ねが類い稀な味をつくりだす。『かんずり』はオンリーワンの製品が一朝一夕に生まれるものではないことの教えてくれる。

 

 

posted by タマラオ at 06:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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