2015年06月13日

「長屋」で攻めるパナホーム

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150226/278022/?n_cid=nbpnbo_bv_ru

「碁盤の目のように整備された道路」「等間隔で建てられた街灯」「ほぼ同じデザインの新築住宅」「子供が安心して遊ぶことができる公園」――。 マレーシアの首都クアラルンプールの中心地からクルマで約1時間。2月上旬に現地を訪れた筆者の目の前には、いわゆる日本の新興住宅地の光景が広がっていた。 意外に思われるかもしれないが、マレーシアでは現在、中間層向けの住宅開発が盛んだ。筆者が訪れた新興住宅地もその一つ。現地の総合不動産(デベロッパー)が開発したものだ。一見すると日本の新興住宅地と変わらないが、よく見るとマレーシア独自の文化が随所に取り入れられている。

マレーシアで主流の「長屋」
まず外観に違いがあることに気付く。マレーシアの中間層向け住宅は、二階建ての住宅を十戸程度つなげた「リンクハウス」と呼ばれる住宅形式が主流。日本で言うところの「長屋」だ。実際、現地で筆者が目にしたのはすべてリンクハウスだった。マレーシアでは「一軒屋は富裕層が住むもの」という認識が一般的なのだろう。

現地デベロッパーが手掛けた「リンクハウス」
家の内部も日本とやや異なる。現地のデベロッパーに売れ残っていた戸建て住宅の中を見せてもらったが、天井の高さに驚かされる。3mが一般的であり、日本に比べて60cmほど高い。 さらにマレーシアでは中間層でも住み込みのメイドを雇うことがあるため、専用部屋もあった。やや高級なリンクハウスではキッチンが2つあるという。「一つはリビングで料理を温めるだけの『見せる』キッチン、もう一つはメイドが料理するのに使う『本物』のキッチンだ」(現地デベロッパーの担当者)。

リンクハウスの中の様子。ショールームのように家具や家電が据えつけられていた
訪問したリンクハウスの価格は土地代込みで、50万リンギット(1600万円)以上。決して安くないが、販売は好調という。筆者が訪れた新興住宅地を開発した現地のデベロッパーによると、約250戸の新築住宅はほぼ完売。「隣接する土地で第2期の計画が進行中だ」(デベロッパーの担当者)。 実はこの第2期の住宅開発では、日本の住宅メーカーと合弁設立に向けた検討が進んでいる。パナソニックの住宅子会社であるパナホームだ。

4月から中間層向けに売り出す
2012年5月にマレーシアに現地子会社を設立したパナホーム。翌年3月には現地にモデルルームをオープン。以降、富裕層をターゲットに価格が300万リンギット(1億円)を超える高級住宅のみを手掛けてきた。 ところが昨夏以降、方針を大きく転換。今年4月から、中間層向けに現地メーカーと同価格の50万リンギット(1500万)で売り出す計画だ。マレーシアでのリンクハウスへの参入は、事業拡大の起爆剤として位置付けられている。

パナホームマレーシアがクアラルンプール市内に建設した富裕層向けのモデルルーム
 中間層の開拓に向けてパナホームが掲げる武器が、工業化住宅の技術。パナソニックマレーシアの馬場俊郎社長は「現地のリンクハウスは一見すると完成度は高く見えるが、気密性などは低い。日本で培った断熱性や換気性能の高さを打ち出せば勝算はある」と語る。 とはいえ、日本の技術を中間層向けにそのまま展開すれば、地場メーカーのコストに太刀打ちできない。

性能の高さとコストの両立するために「W-PC(壁式コンクリートパネル)」と呼ばれる工法を現地流に改良した。 W-PC工法はコンクリート製のパネル材を工場で生産した後、建設現場にパネル材を運び込んで組み合わせる施工技術。工場でパネル材を作るため品質のバラつきが生じにくく、品質を安定化しやすい利点がある。さらにパネル材を組み立てるだけでプレハブが完成するため工期そのものも短縮できる。

課題は、工場の設備投資が必要なこと、そして1枚7〜8トンというパネル材の運搬費用が掛かることだ。パナホームは、建設現場近くの土地にテント式の簡易工場を併設することでコスト削減を狙う。 実際の試作では、品質を確保できることを確認。「建設コストは地場メーカーとそん色ないレベルに抑えられた」とパナホームマレーシアの馬場社長は胸を張る。 2019年3月期に、住宅関連事業の売上高で2兆円を目指すパナソニック。

住宅子会社であるパナホームの目標は5000億円で、その1割に当たる500億円を海外事業で稼ぎ出す計画だ。もっとも現在のパナホームの海外売上高は17億円にとどまっており、達成までのハードルは極めて高い。中間層向けのリンクハウス参入で、実現に向けた一歩を踏み出したと言えそうだ。

 

 

posted by タマラオ at 08:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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