2015年04月23日

浅草かっぱ橋通りの「藤田道具」店主・藤田雅博さんのケース    No3

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さらに尋ねてみた。ネットでモノやサービスを購入することは、便利な反面、事前に品物のクオリティをよく吟味できないというリスクもある。なぜ、役所やPTA、町内会などは、金額の高いものをネットで購入するのかと。藤田さんは、「たとえば、餅つき機などはみんなで使うものだから、少々高くとも『まぁ、いいか』という思いで購入されているのかもしれない」と答える。

役所の場合を聞くと、「これは少し違っていて……」と言い、こう答える。 「役所からは、3月末、9月末、12月末のような決算期に『商品の発送は後でいいですから、見積書だけを早急に送ってください』と電話が来るときがありますね」
私が「他人のお金がたくさん集まるところは、感覚がやはり変わっていますね」と言うと、藤田さんは苦笑いをする。それ以上は答えなかった。

搾取される店や会社は、あえて「弱者」になる商売をしている
私は疑問が湧いてきた。ネット販売は価格競争になりやすい。この小さな店は、“薄利多売”に陥りかねない競争に耐えるだけの体制になっているのだろうか。藤田さんによると、ネット販売をする場合、お客が価格を重視することもあり、これまで1000円で販売をしていた商品は600〜700円前後にまで値下がりするという。 「1つの商品の利益の額は、確かに下がる。だけど、
以前よりは数が売れる。うまくいけば、日本一に、そして世界一にもなれるかもしれない。

今、餅つき機が売れる数は、かつての5〜6倍、かき氷製造機は7倍にもなる。数がこれだけ増えると、いくら単価が安くても、店の売上や利益の額はどんどん増えますよ」商品が増えると、藤田さんは在庫を補うために、メーカーに新たに発注する。メーカーからすると、藤田道具は“お得意様”となる。コンスタントに大量に受注できる取引先だから、納期も確実に守る。藤田さんの要望にも迅速に応じる。

「今は、以前のように“ドーン”とたくさんの額の発注をすることができない店が多い。うちの店は、他の店よりも発注する額が多いと思う。それも、メーカーと小売店の関係をよくしていくきっかけになるでしょう」一方で、藤田道具としては常にメーカーに対する支払い日を守ることを強く意識している。これは、祖父、父、そして藤田さんと3代にわたる方針なのだという。裏を返すと、この業界には支払いが遅れて、メーカーとの関係が破綻し、品がそろわずにお客のニーズに応えることができない店が少なくないとも言えないだろうか。

そんな疑問を藤田さんに聞くと、こう答える。 「旬なものを、今ならば餅つき機とか石焼き芋、たこ焼きなどの道具をきちんとそろえることこそが、売上を維持し、増やすための大前提となります。天候によって売上が変わるから、見極めは難しい。タイミングを逃すと、まず売れない。そのためには、メーカーとの関係をよくすることが必要。だから、うちは支払いには気を遣うのです」

営業をやり過ぎると足もとを見られる 「ツケ払い」に甘んじて倒産する商店も
今度は、このようなことを聞いてみた。手元には、祖父、父の頃からのお客さんの住所録などがある。それらを手がかりに、ダイレクトメールを送ったり、直接出向いて営業をしないのかと。3代続く老舗ならば、お客とのつながりは強力なはずだ。
藤田さんは、「そのような営業はあえてしない。『これを購入してください』とお願いをすると、こちらの立場が弱くなる。それが続くと、商売が悪い方向に向かっていってしまいかねない」と答える。

 

 

posted by タマラオ at 07:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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