2015年03月27日

遺言 日本の未来へ     No3

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ノウハウを海外から取り入れるだけではなくて、出したり入れたり、すべての組み合わせを強化していく必要があるでしょう。その場合、日本は他の国と比べると、一応、勤労意欲は残っていると思います。それから、比較的、質実剛健だと思うんですね。あまりお金を見せびらかさないとか、成金じゃないとかね。こうした日本の基本的な部分は、非常に強いと思います。その上に、今度はグローバルな体制でアメリカやヨーロッパ、そして中国などと付き合っていくことが大切だと思います。

(1992年に)社長になった頃には、「宇宙人」と言われたこともありました。海外経験が長かったものだから、僕の言うことがあまり理解されなかったのでしょうね。あの頃は僕も、周りの人たちは分かってないからしょうがない、と思ってました(笑)。

英語の“社内公用語化”に先鞭をつける
英語を社内の第2公用語にしようと提案した時には、社内外から相当、反発されましたね。でもそれには誤解があって、僕は「バッドイングリッシュを公用語にしよう」と言ったんです。下手でもいいから自分の考えが通じないと、話になりませんから。でも最近になって僕が言っていたことが少しずつ理解されてきたのではないかな。英語がビジネスの公用語として世界で使われているのは、単に普及しているという理由からではなく、英語そのものがビジネスに向いているからです。

英語は適度に曖昧としていて、適度に正確だから。日本語がビジネスに向いているとは、誰も思っていないですよ。もう漠然としすぎていて。でも、英語は必要条件ですが、それだけでは国際的には聞く耳を持たれません。大切なのは、自分のルーツをきちっと持っていることです。少なくともアメリカ人に「日本はどうだ?」と聞かれた時には、きちっと答えられる自分の考えを持っている必要がある。三菱商事の社内を見回しても、非常にグローバル化した人と自分の寝ぐらに入っちゃっている人とに分かれますよね。

しかも、それは若い人がグローバル化していて、昔の人がグローバル化していないというのでも、決してない。「胆力」のある先輩たちに追いつこうとした。 僕はよく例にあげるんだけど、うちの戦後3代目の藤野忠次郎(三菱商事・元社長)さんという方も、これは大変なグローバル人材だった。小柄な人でしたけど、大変なカリスマがあってね。しかも、慎重に将来のこと、日本のことを考えて動いていた。 それから、みんなの意見をよく取り入れていた。

彼の有名な話で、「社長弾劾論」というのを出したんですね。反対することがあれば、俺を弾劾しろと。それほど、自分に対する批判にも積極的に耳を貸す人でした。 石橋泰三さん(東京芝浦電気=現東芝・元社長)とかも、ああいう人にはとても追いつけないと思います。個人的には時々、お目にかかったりしたけれど、そう思いましたね。日本的な表現でいえば、本当に「胆力」のある方たちだった。

自分なりの一つの“イズム”を養う教育を
グローバル化で本当に必要なのは、結局は教育なんでしょうね。リベラルアーツ的な。世界で仕事をするには、自分でデータや知識を吸収し、自律的に判断する能力を養う必要があります。それを基に、相手の話を聞き、相手を説得し、というような海外との意思疎通をしていく。そういう姿勢は、これからの必要条件でしょう。 海外留学も、そうした姿勢を養うには効果的です。ご存知か分かりませんが、カルコン(CULCON=日米文化教育交流会議)という、日米の教育を論ずる場があり、僕はそこで過去7年、チェア(委員長)をやってきましてね。

そこでも言ってきたんですが、大学での留学は大いに推進するべきだけど、やはり高校時代に本当は1年でもいいから留学するのが、一番効き目があるんじゃないかと思うんです。頭が新鮮なうちにね。若いうちに、自分なりの一つの“イズム”を持って、言葉の違う相手と渡り合う力を身に付けてほしい。もう一度国を開くには、まずそこから始めてはどうでしょうか。私が言う「第3の開国」とは、単に移民がどうのとかそういう問題ではなくて、私たち日本人自身の問題なんです。

僕は、日本は将来を悲観することは全くないと思います。日本はそれだけの力を持っている。だからもう1回、私たち一人ひとりが、世界に門戸を開けばいいんですよ。

 

 

posted by タマラオ at 08:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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