2015年03月15日

香港の子育て環境 No3

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また、最低賃金や労働時間もほかの労働者とは大きく異なる。前述のように、香港では月額約4000香港ドル(6万円)が基本。週休1日で住み込みともなれば、日本の労働法が定める週に40時間を超えてしまう可能性がある。
農業や医療、介護などの分野で「実習生」という位置づけで来日する外国人の多くが、帰国を余儀なくされている。法整備面で、どれだけ明確に彼女らの労働と対価を位置づけるかが課題になる。

2つ目のインフラ面では、冒頭の光景も含めた、外国人家事労働者を受け入れる環境の問題だ。まずは家の問題。日本の都市型建築の多くは、家事労働者が住み込むスペースが考慮されていないのが現状だ。香港の比較的高価格なマンションでは、狭い納戸のようなスペースではあるものの、彼女らを迎えるための設計がなされている。もちろん、家事労働者との生活を好まない人もおり、その場合は用意された家事労働者向けの専用のアパートメントから通うのだ。

なお、住み込みでない場合は、家事労働者の住居費用や交通費など、1500〜2000香港ドルを追加で雇い主が支払う必要がある。 日本で導入する場合、多くが通いとなるだろう。その場合、どこに宿舎を用意するのか。また宿舎の費用をどの程度に抑えるのかが課題だ。高額な家賃が加算された場合、一般家庭が雇うのは難しくなってしまう。宿舎が置かれる地域では、生活習慣の違いから地域住民との間に問題が発生する可能性も否定できない。

語学力の問題もある。香港のように英国統治下にあった地域では、同じく英語圏だったフィリピンの家事労働者とのコミュニケーションは取りやすい。それでも、雇い主と家事労働者の間でしばしばコミュニケーション上のミスや相性による問題が生じている。日本では英語でのコミュニケーションが一般的ではないため、家事労働者とのコミュニケーション上のミスも多く発生すると考えられる。

最大の壁は「周囲の目」
ただ、やはり一番の課題は一般に根付くかどうかという点ではないだろうか。外国人家事労働者を雇うことに対する「周囲の目」。この壁を乗り越えるのが難しい。前述のように、日本には、「子育て=親(特に母親)がすべき」という固定観念がまだ強く残っている。家事や育児を他人に任せると「責任放棄」という目で見られかねない。子育ての成功と失敗について、何を基準にするかは人それぞれで一様ではない。

だが、今回話を聞いたいくつかの家庭では、子供が非行に走ったり、内にこもってしまったりするケースは聞かなかった。もちろん、外国人家事労働者を雇うことでマイナスの影響もあるだろう。ただ、家事をしないと子育てに悪影響を及ぼしかねないという認識は正しくない。前出のAさんのように、家事を任せられるからこそ、空いた時間を子供とゆっくり過ごせるという副産物もある。 在香港の日本人の多くが外国人家事労働者を活用している点を見れば、日本人には不向きと考えるべきではない。

問題は、きちんと受け入れられるよう、制度や法律などの仕組みを用意することにある。このままでは人口減少で日本の労働力が減るのは確実だ。外国人家事労働者の必要性や移民の受け入れなど、今後議論が重ねられるだろう。大事なのは、「足りなくなったから海外から呼ぶ」という安易な考えを捨てること。海外でも移民を受け入れたことによる反動が多々噴出しており、宗教問題やテロに結びつくなど不安要素もある。そういったことを踏まえつつ、議論を進める必要があるだろう。

何を求めて、そのためにはどのような仕組みを用意すべきか。日本が抱える課題を解決するには、相応の覚悟と変革が求められる。

 

 

posted by タマラオ at 05:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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