2015年02月20日

『なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか』 No3

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それでも、一生懸命に働き、かつスキルも高い日本人を求めるオーナーも多いのです。たとえば、パリのビストロ「シェ・ミッシェル」のオーナーは、雑誌『クーリエ・ジャポン』の取材にこう答えています。「日本人は、フランス人に比べて、労働意欲が高く、仕事も早くて丁寧。この国から日本人の料理人を閉め出すような法律ができたら、パリにあるレストランの、半分以上はつぶれてしまうだろう」
(『クーリエ・ジャポン』2013年March「もはや日本人料理人なしにフランス料理は語れない」より)

ちなみに、ここまでに名前が出た日本人シェフは、みな自分で店を持つオーナーシェフ。しかし、私がもっと驚いたのは、二つ星・三つ星など有名レストランのスーシェフを務める日本人が多くいるという事実です。スーシェフは、シェフに次ぐナンバー2のポジション、実際の料理の実務をすべて手がける、企業でいえばCOOにあたる重要な存在。たんに使われるだけとか、ちょっと働いて終わりというのではなく、メインストリームで活躍できる人たちがとうとう現れたというわけです。

「日本人がスーシェフをつとめるレストランが急増している今、私たちが食べるフランス料理は本当に“フレンチ”なのか?」(前出『クーリエ・ジャポン』より)
人気料理ブロガーが、こんな問いかけをし、議論が巻き起こったこともあったそうです。しかし今では、批評家は「日本人の貢献がフランス料理を進化させている」と言い、お客さんに至っては「日本人がいると安心する」というくらい評価は定着しました。お客さんから見えないように隠すという時代からすれば、考えられない状況です。今回の書籍に登場いただいたのは、フランス、イタリア、スペイン、そして日本にいながら海外でのプレゼンスもある、15人の日本人シェフとソムリエ。

シェフはほとんどがオーナーシェフとして、ミシュランで星を獲得した人たちを取材しました。今まさに世界を切り拓いている彼らが、どうやって海外に出ていき、どうやって成果を上げたのか。これから海外に行きたいと思っている人はもちろん、今までそんなことを考えてもみなかった人たちにも、その秘訣やノウハウを知ってほしいという思いから今回の本は生まれました。

日本流の「おもてなし」こそ評価される
2013年9月、ブエノスアイレスで開かれたIOCの総会で、2020年の東京オリンピック開催が決定しました。なぜ日本がオリンピック開催を勝ち取れたのか。その背景にあるものと、今回伝えたいこと、この2つはすごく近いのではないかと思っています。IOC総会でのプレゼンで日本が何をアピールしたのかといえば、電車が時間どおりに来るとか、街が安全だとか、サービスが丁寧だとか、人々がマジメだとか……。私たちが日頃、当たり前だと思っていることばかり。

しかし、考えてみれば、時間どおりに電車が来るなんて、オリンピックを争ったスペインをはじめ海外ではありえないこと。海外と同じ土俵で戦うのではなく、日本的なところで勝負する。流行語大賞にも選ばれた、滝川クリステルさんの「おもてなし」の言葉が象徴するように、世界に誇れるなんて思ってもみなかったことが評価されたわけです。言い換えれば、私たちがもともと持っているスキルを出していけば、世界で当たり前に活躍できる。そういうチャンスが訪れているととらえることもできるでしょう。

 

 

posted by タマラオ at 05:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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