2014年10月21日

中国、自分の不幸は他人のせい?無責任体質はどこから来るか   No1   

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https://www.blwisdom.com/strategy/series/china/item/9469-57.html?mid=w451h90100000995646

「中国の権力者はやりたいことは基本的に“何でもできる”し、国民もそれを前提に権力に依存し、時にそれを利用して自らの利益を図ろうとする、官民ともに“権力頼み”の社会である」という趣旨のことを書いた。そして、この権力依存型の経済成長が限界に来つつあり、不動産バブル崩壊など大きな調整の可能性が高いという見方をした。  この内容について読者の皆さんか
ら大きな反響があったので、今回はこの論点をもう少し別の角度から考えたいと思う。


「権力依存」の経済的な影響について考えたが、今回は、経済的にはかくも急速に豊かになっているにもかかわらず、中国社会に充満する不満情緒はどこから来るのか、そして「自分さえよければいい」「自分は常に正しい。悪いことはすべて他人のせい」といった無責任体質がどのような原因で発生しているのかを考えてみたい。

あてがわれたものを買うしかない時代
私が初めて中国に来たのは1981年、大学3年生の時である。中国政府の人に連れられて人民公社(農村の生活共同体のようなもの)に見学に行くと、「この家にはテレビがあります」と紹介されるような時代だった。改革開放は始まってはいたが、家電製品に限らず服や食べ物にしても単一の商品を大量生産して供給する計画経済がまだ機能しており、配給制度が生き残っていて、人々は基本的に政府からあてがわれたものを買うしかなかった。「なるほど、これが社会主義というものか」と衝撃を受けたのを覚えている。

80年代後半になると、さすがに商品の数は増えてきたが、それでも国外のデパートや量販店に並ぶ圧倒的な量と種類の商品群とは比較にもならない貧相なものだった。例えば、上海の百貨店でテレビを買うとする。選択肢はほとんどない。それどころか品物があればまだよいほうで、買い逃がすと次はいつ入荷するかわからない。要するに目の前にあるものを買うか買わないか、二つに一つである。  それで
結局、多くの人はやむなく買うのだが、そのテレビがまたよく壊れる。

無理もない。ほとんど独占供給だから、国営メーカーにすれば造れば売れる。品質がよくなるはずがない。当時としては給料の何カ月分、何年分という大枚をはたいて買った製品が壊れ、修理もままならない。私の友人たちは怒り、販売店やメーカーにねじ込むが、相手は国営企業で客を客とも思っていないから、当然のごとく埒があかない。そんなことを繰り返しているうちに、人々は疲れ、諦めて、こう思うようになる。 「仕方がない。悪いのはあいつらだ。私のせいじゃない」  これが諸悪の根源
である。

「自分で選んだのではないから、自分に責任はない」
日本国内でテレビを買おうとすれば、当時でも今でも、たくさんの電気店を回り、販売員の話を聞き、パンフレットを集めて、無数のメーカーの無数の機種を比較検討し、最終的に一台に決める。そうやって最終的に自分の意志で一つの製品を選んだ末、たまたまその製品が思い通りではなかった、もしくは不幸にして不良品だったとする。もちろんメーカーに責任があることは当然だが、選択の過程に透明性があり、根底の部分では自分が決めて選んだということがあるから、「安物買いの銭失いだったかもしれない」とか「運が悪かった」とか自分を客観視して判断する気持ちを持つことができる。

しかし、「欲しければこれを買え。嫌なら買うな」という状態で商品を買った人に、その結果の責任を問うのは無理である。他人に半ば無理やりあてがわれた結果なのだから、責任を問われるべきは自分ではない。つまり「数多くの選択肢の中から自分の意志で、あるものを選択する」という行為は、どこまでが自分の責任で、どこまでが他人の責任なのかを客観的に考えるために欠かせない条件なのである。

社会主義計画経済とは、このテレビの例のような構造が日常生活のすべてに及んでおり、食べ物も服も、住むところも学校も職業も、すべてが自分の意志で選べない時代だった。ということは、自分の生活、自分の人生に自分で責任を持たない(持てない)状況だったということである。当時、中国の人々が何かにつけて「そんなの知らないよ。私のせいじゃないから」という反応を見せる様子を見て、「社会主義とはとんでもない仕組みだ」と改めて認識したのである。

 

 

posted by タマラオ at 04:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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