2014年10月18日

巨大市場の底流 No4

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農地の資産化、現金化に途を開く
こうした状況に対応するために出てきたのが冒頭に紹介した政策である。農民の土地使用権にハッキリと私有財産権が認められ、法的に保護されるのであれば、農民はその権利を有償で誰かに貸し出し、自分は都市部に働きに出ることもやりやすくなる。また村の中で農業が得意な人が中心になって、村内の他の農民から耕作権を借り集め、集団化、大規模化した農業を経営して生産性を上げるといったこともできる。

さらに言えば、高い農業技術を持つ村外の企業が参入し、農民たちに耕作権による現物出資で株主になってもらい、近代的な農業企業として生産活動をするといった形も考えられる。いずれにしても農地の増値ぶんを農民の手に還元することが可能になる。 加えて、土地の財産権が法的に確立されれば、それに対する侵害行為はやりに
くくなる。いかに地元の権力者が腐っていても、いったん農民が「自分の財産」と認識した土地を白昼堂々と奪っていくことはさすがに難しい。

その農地を何らかの目的のために収容するとなれば、その資産価値に見合った補償をしなければならなくなる。農村戸籍の人々も、都市部の人々と同様に、人として最も基本的な権利がようやく認められる時代になったことは明らかな社会の進歩であり、喜ばしいことである。 もっとも、農地の財産権を確立するとはいっても、現時点では農地が自
由に売買されるところまでは想定していない。

冒頭に紹介した会議の決定でも「農村の土地の集団所有という形態そのものは今後も堅持し、農業集団を基礎とした農業の大規模化、集約化を促進する」という趣旨の方針が示されている。つまり、財産権は認めるが、その財産の処分の仕方についてはタガをはめる。貸与や現物出資はできるが、自由に売却できるわけではない――というあたりが基本線となる見込みだ。別の言い方をすれば、「土地」そのものを個人に分配するわけではなく、「土地から上がる収益」を分配するのが原則ということになる。このあたりが日本などの農地改革とは異なるところだといえる。

「バーチャル財産権」の試みも
こうしたやり方はすでに一部地域では試験的な先例があり、例えば安徽省繁昌県平鎮という村では2012年からすでに「バーチャル財産権(虚擬確権)」という考え方を導入し、個々の農民が自らの耕作地を村の共同体に差し出し、その「バーチャル財産権」の額に応じて収穫後に配分を受けるというやり方を始めていると報道されている。村は村民から集めた細切れの農地を区画整理し、農道や水路を整備、大型農業機械を導入して生産性を上げているという。

大規模効率化によって人員は少なくて済み、大半の農民は村外に働きに出ている。つまりすでに大部分の村民は「農業集団の株主」と化していて、厳密な意味での「農民」ではなくなっていると言ってもいい。 また、農村の土地の
中で農地以外の部分、つまり農民の居住地や公共施設、商店、倉庫、道路など(「集体建設用地」と呼ぶ)については、農地に比べてより大胆な形で市場化が進められる予定だ。

 

 

posted by タマラオ at 06:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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