2014年08月28日

シュリンク業界の実態 No3

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営業の自己採点は「120点」だが――。個人で働くことの厳しさ、虚しさを痛感
小さな会社で働くときの空しさが、ここにある。通常、よい仕事をするためのリソースやそれに伴う実績は、所属する組織の体制に大きく左右される。体制が不備ならば、仕事をする上でおのずと限界がある。ところが、大企業から中小企業に移ると、「大手から来たのだから……」と言われ、高い実績を挙げることが到底不可能と思えるような環境で、仕事をさせられることもある。そしてそれができないと、退職を迫られる。そうしたとき、周囲の、特に生え抜きの社員は見て見ぬふりを貫く。

このような話をすると、杉浦さんは「そうだよな……。だけど、自分は運がよかった」と言い、続けた。 「有名ミュージシャンが、自動車会社のテレビCMに、おしゃれな眼鏡
をつけて出演した。あれを観た人が店へ行き、“彼と一緒のものが欲しい”と言い始めた……。全国の店から私のところへ電話がじゃんじゃんかかって来て、『あの眼鏡を店頭に並べたい』と注文してくれたため、成績がぐーんと上がった」これで前半の遅れを取り戻したと思い、4月の契約更新に臨んだ。

だが、社長からの回答は、「今期限りにしたい」。杉浦さんは、「週ごとに営業の報告はしてきた。1年間の私の成績を把握されていたのですか」と迫った。社長は「見ていない」と答えたという。杉浦さんは、社長から「若い社員に仕事を教えてほしい」と言われていた。それを受けて、男性社員に何度か教えたが、不熱心に見えたという。次第に教える意欲を失くしていった。 「社長は、そんなこ
とも他の社員から聞かされていたのかもしれない。きっと、あの男性を俺の後釜として使おうと考えたのだろうね。

男性は30代の正社員、こちらは契約社員で50代半ば。はるかに向こうのほうが扱いやすいから……」ここにも、小さな会社で働くことの空しさがある。それぞれの社員の役割、権限、責任が実にあいまいなのだ。経営者が自分中心の体制を守るために、意図的に曖昧にしておくこともあるのかもしれない。この体制の中では、仕事ができる人はいいように使われる。そして経営者の意にそぐわないと、排除されることもある。

正社員として拾ってくれた取引先で再起 「日本しか見ていないようでは、ダメよ」
杉浦さんが、契約しているもう1社(B社)の社長に相談をすると、「うちの会社で正社員として働いてほしい」と言われた。しかも、給与は月30万円から多少アップした。さらには、営業部長としてレンズ部門の営業マネジメントの役職も与えてもらった。私は言った。「1年間の働きを高く評価してくれたのだと思う」。杉浦さんは「ありがたいこと」と繰り返す。普段は強い口調で話す人が、しんみりと小さな声でつぶやくように話した。

「本当に恩義に感じている……。社長はアメリカ人で、仕事熱心。自分は大手では日本人の上司からリストラされ、A社では日本人の社長に切られた。それで、アメリカ人の経営者に助けられた。この社長の期待には、どうしても応えたい」
7月から、正社員としてB社に勤務している。社員は10人ほど。職場の雰囲気を聞くと、杉浦さんはこう語る。 「30年以上勤務したあの大手の社員よりも、皆の仕事への姿勢はい
い。海外との取引が多いから、英語を懸命に習う人もいる。

 

 

posted by タマラオ at 05:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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