2014年08月16日

限界都市東京からの移住    No4

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舞に見る海士町の魅力
キーワードの最後は、海士町に移住することで初めて分かる「価値観」だ。「ないものはない」というキャッチコピーに表れているように、海士町には際立った産業や文化はない。だからこそ移住者は真っ白いキャンバスに自由に絵を描くことができる。「何でもある」という東京圏では見いだすことができない状況が、独自の価値を作り出しているといえる。 先に挙げた岩本さんは現在、地元の伝統芸能である「島前神楽」を学んでいる。

大学時代に出版した本の印税でアフガニスタンに学校を建設した経験から、いずれ海外で教育貢献をしようと考えていた岩本さんを海士町に留まらせている理由も、その舞に隠されている。 「島前神楽は2畳のスペースしか使わず、舞の型が決まっている。限られた狭い世界に見えるが、実際に舞うと、ものすごく深く自由な世界が広がっていることに驚かされ、どんどんのめり込んでいく。この島での活動も同じ。小さい場所に世界の問題が凝縮されており、この場所から世界を変えていける実感がある」

伝統芸能から海士町の魅力を知るだけではない。舞の団体という地域コミュニティーに入ることで、学生の情報も入り、学校への協力者も増える。 仕事とプライベートが不可分に入り混じった状態――。東京圏に身を置いていると、「公私混同」と聞くと窮屈に感じるが、海士町ではそうではない。仕事やプライベートという概念が従来とはまったく違うものとして浮かび上がってくる。これもまさに新しい価値観との出会いといえるだろう。

安定した職を得られるだけでなく、やる気をバックアップしてくれる自治体の姿勢。子育てや教育など家庭生活に関わる部分で独自のサービスを受けられ、これまで気づかなかった価値観にも出会える。金銭面でも東京圏での生活と遜色ないレベルを維持できる。海士町のような試みが地方の自治体で広がっていることを考えれば、東京にしがみつく意義、必要性は徐々に薄れていくのではないだろうか。 東京から移住した20代の男性はこう話す。

「東京時代は通勤に往復で1時間半。営業職だったので外回りの移動だけで1日2時間ぐらい電車に乗っており、その間はひたすら携帯ゲームをしていた。ここで3時間半あれば何でも好きなことができるのに…」。海士町で話を聞いた十数人の移住者のうち、東京圏に戻りたいと考えている若者は1人もいなかった。

 

 

posted by タマラオ at 06:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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