2014年07月05日

じつは世界の寿司ブームを支えていた!?      No1

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http://diamond.jp/articles/-/55417 2014年7月2日

樋口直哉 [小説家・料理人 1981年生まれ。服部栄養専門学校卒。料理人として活動する傍ら、2005年、『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。ほかの作品に『月とアルマジロ』(講談社)、『大人ドロップ』(小学館)、『星空の下のひなた。』(光文社)、『ヒマワリのキス』(徳間書店)、『アクアノートとクラゲの涙』(メディアファクトリー)がある。

最古の調味料「酢」に見る控えめな日本らしさ
先日、縁あって宮崎県を訪れた。東京から飛行機で2時間弱、意外と近いというのが印象だ。空港を出ると南国らしい県木、フェニックス、通称ヤシの木が出迎えてくれる。この木は宮崎市内のあちらこちらで見ることができる。「あの木がね、宮崎県人の労働意欲を削いでいると思うんです」案内してくれた地元の人間がのんびりとした口調で言うが、たしかに宮崎はいかにも南国らしいのんびりとした土地だ。日本は小さい島国だが、南北に長く、気候も文化も多様である。

南の気候が育てた食文化のひとつに「黒酢」がある。黒酢といえば鹿児島が有名だが、宮崎でも元々薩摩藩だった東諸県郡では酢作りが行われている。今回はそこで伝統的な酢を製造している大山食品を訪ねた。地方を訪れると思いがけず、いい食材に出合うことがある。大山食品の酢もそのひとつだった。人間の最古の調味料と呼ばれる酢は酒文化とともにあって、その国の特有のものだ。ワイン文化の熟成した西洋ではワインビネガー、あるいはシードルからはりんご酢が生まれた。

モルトビネガーはビール文化圏であるイギリス料理を形作る。我が国には5五世紀頃から米を使った酢が「からさけ(苦酒)」という名前で存在していた。海外に行くと意外と困るのが、質の良い米酢の入手だ。外国人が大好きな寿司も質のいい米酢がなければつくることはできない。酢というのは不思議な存在で、普段は決して目立たない。けれど、たしかに日本の味を支えている。

1日でお酢が作られる今の時代に1〜2年かかる昔ながらの製法を貫く
昭和5年創業の大山食品は綾町にある。綾町は有機農業の里と知られる。“自然生態系を生かし、育てる町にしよう”というかけ声とともに昭和63年から農薬や化学肥料を使わない有機農業を町ぐるみで推し進め、林業が衰退するなか照葉樹林都市・綾として、早くから国有林の保護に取り組んできた。それらのこともあり、綾町は名水百選に選ばれる「綾川湧水群」のある、水のいい土地としても知られる。

大山食品の敷地に入ってすぐの場所にある湧水から、手のひらで水を掬って試飲させてもらった。この湧き水がものすごくおいしかった。僕の生涯でもベスト5に入る水だった。純粋そのものなのに、丸みがある。湧水が美味しいのは山の照葉樹林と腐葉土のフィルターを通り、できたての酸素を含んでいるからだ。だから、味わうと気持ちまで軽くなる気がする。「癖がないのが癖、というか。特徴ですね。殺菌するために沸かしたりすると、もう駄目になってしまいます。

もっと悪いのは塩素ですけど。時々、買い物にきはる人が持って帰ったり、一度ここの水を味わうと他のは飲めないって言いますね。この水の良さはやっぱり山のおかげなんですね。山によって濾過された伏流水です。お酢作りに重要なのは水と米です。米は近隣でとれたものを使っています」お話を伺った大山食品、代表取締役社長の大山憲一郎さんはそう言う。「発酵が大好き」という社長は穏やかな口調で話す宮崎県人だ。

 

 

posted by タマラオ at 06:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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