2015年09月25日

「ベンツはもう、誰でも持ってるでしょ?」 No1

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どこでもいいので、バンコクの中心部にあるちょっと高級な商業施設に車で乗りつけてみよう。 スタッフが現れ、駐車場へと車を誘導してくれるはずだ。 だが、誰もが同じ場所に駐車できるわけではない。 高級車は専用のVIP車ゾーンへ、そうでない車はその他のゾーンへ。車のランクによって容赦なく振り分けられる。タイは厳然たる階級社会であると同時に、見た目で判断される社会だ。金持ちは金持ちらしい格好をし、ブランド品を身につけ、高い車に乗る。そして快適な待遇を得る。

重要人物のカンバンとしての自動車
自分の「カンバン」として、威力抜群なのはなんといっても高級車だ。渋滞では道を譲られ、空港の駐車場が「満車」表示で入れない場合でも、別のスペースに案内され、難なく停められることも多い。具体的に言えば、ベンツ、BMW、ポルシェ、フェラーリ。こうした車なら、まず間違いなくVIP車として扱われる。 この華やかな顔ぶれに食い込み、タイの富裕層の支持を着々と獲得している日本車がある。日本で十番目に生まれた自動車メーカー、光岡自動車だ。主に日産の市販車をベースにカスタマイズした車両を販売する光岡自動車は、ここタイでは3つの車種を販売している。2人乗りオープンカーの「ヒミコ」、クラシック型セダンの「ガリュー」、コンパクトセダンの「ビュート」。それぞれ独特のデザインで、存在感は抜群だ。

2015年8月、富裕層の子弟が多く通うバンコク大学で、光岡自動車は車の展示イベントを開催。車をバックに自撮りする学生が続出した。 ミツオカモータータイランドのゼネラルマネジャー・平野葉流架氏は言う。 「タイはヨーロッパの文化が入っているためか、クラシックカーに対して拒絶反応がないんですね。注目されたいという意識も強く、見るからにクラシックな車が売れる。『人目を引きすぎると恥ずかしい』という日本人とは対称的です」

乗るからには目立ちたい。関心を集めたい。それは本当なのか。光岡自動車のユーザーに実際に聞いてみた。 5年前にモーターショーで見かけて以来、「ガリュー」が気になっていたというチラポンさんは、今年ようやく購入を決意。現在、納車を待ちわびているところだ。といっても予算の工面がつかなかったわけではない。工面がつかなかったのはお金ではなく駐車スペース。機械メーカーの社長を務めるチラポンさんは、ベンツ2台にプジョー、シボレーの計4台を所有する超リッチマンだ。

「ベンツは誰でも持ってるでしょ?」
「少し迷っていましたが、やっぱり買ってよかった。ベンツはどこにでもある車ですが、『ガリュー』はそうじゃない。とてもラグジュアリーなので、フォーマルなイベントに出かける際に利用するつもりです」 「ガリュー」購入にあたっては、車体の色は黒、内装はベージュ、サンルーフ付きの仕様に変更した。いずれも自身の好みを生かしたカスタマイズオーダーだ。「内装についてはリアルウッドのパネルやハンドルに変更することも考えています」とチラポンさんは楽しそうだ。

「ビュート」を愛用しているマダム、チダーパーさんにも話を聞くことができた。 「ビュートで走っていると、皆、こちらを見るのよ。ヴィンテージ感のあるクラシックなデザインが目立つので、本当に気に入っています。ほかの車? ベンツも持っているけど、もうありふれちゃって、誰でも持ってるでしょう? その点、ビュートは希少で、注目度は高いですよ」 チダーパーさんの愛車は
クリーム色の「ビュート」。「ベンツ」も所有しているが、現在のお気に入りは圧倒的に「ビュート」だ。

そう言いながら、外装はクリーム色、内装は真紅の色でカスタマイズした「ビュート」に乗ってチダーパーさんは笑顔でポーズを取ってくれた。ベンツは誰もが持つ車ではないが、光岡ユーザーの常識では「持っていて当然」なのだろう。光岡自動車が、タイのマーケットで独自のポジションを確立し始めているのは間違いないようだ。内装は、チダーパーさんの好みを反映して真っ赤に統一。今日はバッグも内装の色に合わせてコーディネート。タイの中間層がターゲットの「ビュート」。価格も手頃でデザインもカジュアル。日本ではこのモデルが一番人気がある。

頓挫した最初の挑戦
だが、その突出した個性ゆえに、容易に成功をつかむことができたかというと、それは違う。光岡自動車がタイに進出して5年。当初掲げていた計画は頓挫し、なかなか受注に結びつかない時期が長かった。 実は、成果が出始めたのは今年、2015年に入ってからだ。マーケットを絞り、あえて工場の機能を縮小し、サービス全般を見直す中で光が見えてきた。 2010年9月、光岡自動車はタイの車体組み立てメーカー・ヨントラキットと合弁会社を設立。初の海外生産に乗り出した。

タイを拠点にしたのは、タイ国内での販売を開始すると同時に、FTA(自由貿易協定)を利用してASEAN域内への輸出を促進するためだ。だが、計画はもろくも崩れ去った。タイの工場の責任者として赴任した平野氏は振り返る。 「当初はタイで生産した車の8割をシンガポールやマレーシア、インドネシア等に輸出しようと考えていました。合弁先も、『近隣諸国のディーラーが買ってくれますよ』と景気の良いことを言ってましたし(笑)。

 

 

posted by タマラオ at 05:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記