2015年09月15日

絶滅危機のウナギは庶民の食卓に戻るのか     No3

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44004

水産総合研究センターウナギ統合プロジェクトチーム(神奈川県・みなとみらい)の田中秀樹氏らがアブラツノザメの卵が餌として有効であることを見つけたことがターニングポイントとなり、2002年には、仔魚をシラスウナギにまで変態させることに成功。2010年には、長年の努力が実を結び、ついに完全養殖が実現した。とはいえ、これは実験室レベル。次の目標は、シラスウナギの量産化である。 これまでは、10リットル
のボール型の水槽に仔魚を飼育し、1日に5回、アブラツノザメの卵にビタミンなどを加え、ペースト状にした餌を与えていた。

餌を与えると、水が汚れるので、毎日仔魚をサイホンやピペットで新しい水槽に移しかえる。この方法は、大変な労力を伴う上に、得られるシラスウナギ1つの水槽に10尾程度だ。 「飼育システムを効率化し、シラスウナギを1万尾規模で安定生産できる飼育方法を開発しています」と同センター主任研究員の増田賢嗣氏は話す。水槽の形から、給餌方法や水槽の洗浄方法など各プロセスを詳細に検討し、地道な工夫を重ねることで、少しずつ飼育規模を大型化させた。その結果、2014年には1 トンの大型水槽での飼育が可能になった。この水槽
で2万8000尾の仔魚を飼育し、441尾をシラスウナギにまで変態させることができ、量産化への展望が大きく開けた。

「大型水槽での飼育に成功しましたが、実用化に向けては、生存率を上げることや飼育日数を短くすることが必要です」と同センター資源生産部部長の桑田博氏は話す。現在の飼育条件では、仔魚がシラスウナギになるまでに、10カ月ほどを要し、天然のウナギよりも時間がかかっている。生存率も実験レベルより低い。生存率が低く、飼育期間が長ければ、当然、飼育コストが高くなる。コスト削減は実用化に向けた重要な課題だ。さらに、アブラツノザメの漁獲量が激減し、エサの卵が手に入りにくくなっていることから、餌の開発も必要だ。

「量産化に向けて、手に入りやすい原料を探し、栄養価の高い新たな餌を開発しています」と桑田氏は話す。 「工業製品と違って、生物を量産する技術は本当に難しいです。まだ課題はたくさんありますが、一刻も早く安定的にシラスウナギを量産する技術を完成させ、生産現場で使ってもらいたいです」と増田氏。完全養殖の成功には40年もの年月がかかったが、シラスウナギ量産化に向けての技術開発は急ピッチで進んでいる。

ウナギが普通に食べられる日を待ち望んで
私たちが、ウナギを食べてきた背景には、需要のままにシラスウナギを獲り続けてきたことがあった。その結果、シラスウナギは激減してしまった。しかし、シラスウナギの量産化が実現すれば、これまでシラスウナギの不足で不安定だったウナギの養殖業も安定するだろう。天然のシラスウナギに頼る必要がなくなれば、私たちも安心してウナギを食べることができる。なんとも待ち遠しい話だが、しばし時間がかかりそうだ。先に述べたように、ウナギの減った原因は、乱獲の他にも自然破壊が進んだことで、天然ウナギの餌が減り、生息できる川が少なくなったことも考えられている。

ただ、ウナギの生態は複雑で、不明な点が多く、資源回復の糸口を見つけるのは難しい。そこで、日本だけではなく、中国や台湾などウナギをめぐる東アジアの国々が力を合わせてウナギを守っていこうという動きもある。このような資源回復の努力や、シラスウナギ量産技術の開発によって、ウナギが普通に食べられる日が来ることを期待したい。

 

 

posted by タマラオ at 06:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記