2015年09月06日

銀座曙 No4

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女性活用も進めている。本社スタッフ50人中半数が女性。細野さんがビジネスの中心に参画してから、目立って女性社員が増えた。「そもそも私がいた販売企画は全員が女性でした。弊社くらいの規模で社員を募集すると、優秀な女性がたくさん応募してくれます。女性パワーを活用することが、中小企業には不可欠なのです」 成績優秀なばかりではなく、女性には粘り強さがあると細野さんは指摘する。

また、多くが男性という職人さんの懐に、するりと入り込むような仕事をするには、商品企画を女性が行うのが有利だ。時には気難しい職人さんたちと、うまく話をつけてくる女性が多い。 お菓子好きな人が多いのも、女性の大きな強みだ。「私も仕事というだけでなく、お菓子が大好きです。小さい頃から、父が持って帰ってきたお菓子を食べながら『これはおいしいね』などと意見を言い合うのが、我が家の一家団欒でした」と細野さんは言う。

「面接の時に、お菓子が大好きという情熱を感じさせてくれる人がいますが、ほとんどは女性です。ただ、まれに男性でも『お菓子オタク』というくらいお菓子好きな人が入社してくることもあります」。銀座あけぼのは以前から、「自社製造のおかきは、宮城県産の宮黄金餅米しか使わない」という原産地主義を貫いている。「うちではそれが当たり前だと思っていたので、商品に原産地を表示してきませんでした。祖父の代からのこだわりですが、江戸っ子というのは、あえてこういったことを言わないのです(笑)」 ところが最近は他社の製品で、原産地をアピールするのが流行っている。そこで、「江戸っ子の粋」には反するが、銀座あけぼのでも原産地の表示を始めたそうだ。

そうしないとお客に「何も書いていないから、外米を使っているのかと思った」と言われてしまうからだ。これまでの跡取り娘への取材では、「跡を継いだものの、古参の役員とうまくいかない」という話を聞くこともあった。若い社長になった彼女に、障害はなかったのか? これについては、父が母の看病のために出社しなかった間、既に細野さん自身が会社を切り盛りしていた経緯もあり、「思ったよりも社内の受け入れはスムーズでした」という。

先代の父のやり方に真っ向から反発するのはだいたい男性で、私の知り合いの老舗の跡取り息子も、20代の頃は家を出たり商売を立ち上げたりし、家族との確執の末、今は家業に戻って落ち着いている。それに比べると女性の跡取りは、周囲とうまく折り合っていくタイプの人が多いようだ。無用な争いを好まない、女性ならではの「協調路線」なのだろう。また、大学卒業以来銀座あけぼの一筋のたたき上げでもある細野さんへの、周囲からの信頼も厚いのだと思う。

「しかしただ父の言うことを守るだけでなく、それ以上の結果を出さないと認めてもらえないことは覚悟しています」。では、細野さんと父親のビジネススタイルは、どう違うのか。 例えば春のディスプレーの企画が決まると、父親は「春らしい感じで」というイメージを伝えるだけだったが、細野さんの場合は「店舗のこのスペースにこの商品を置いて…」とシミュレーションを重ね、具体的な形に落とし込む。「具体的に明確に細かく指示していけば、どんな社員でもできるようになる。

自分から発案する社員、指示待ちの社員、いろいろな社員がいますが、みんなが今いる位置からレベルアップしていけるよう、心がけています」 木目細やかなフォローで“底上げ”していく、というのは、女性管理職が得意とするところだ。今期の企画や収益目標なども、細かいスケジューリングで指示していくことで、社員にも「そこに向けて自分はこう動こう」という自主性が生まれる。こういった具体的で明確な彼女の指示は、社内でも歓迎されている。

 

 

posted by タマラオ at 07:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記