2015年08月04日

マグロが回転寿司から消える日がやってくる!? Mo1

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http://diamond.jp/articles/-/59404

今年の夏はいたるところでうなぎが話題にのぼった。6月に国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に『ニホンウナギ』が指定されたからだ。さすがに「もう食べられなくなる」という危機感を抱いた人も多かっただろう。しかし、あいかわらず牛丼チェーンには「うな丼」が並び、スーパーでは蒲焼きが大々的に売りに出されていた。そうした場所で売られている多くは中国などで養殖飼育された『ヨーロッパウナギ』である。『ヨーロッパウナギ』も数年前にワシントン条約の対象になり、2010年にはIUCNの絶滅危惧種に指定されている。結局、日本人はウナギを絶滅寸前までせっせと食べ尽くしてきたわけだ。

そして、今度はマグロだ。日本でも以前からマグロ資源については心配されていたものの、その対策に本格的に取り組んできたわけではなかった。例えば『92.6%』という数字がある。これは太平洋で漁獲されるクロマグロのうち、ヨコワ(幼魚、関東での呼称はメジマグロ)の占める割合だ。ほとんど稚魚のうちに獲っていることがわかる。味がのるとされる四歳魚以上の割合はわずか1.2%、卵を産む前の子どもの段階で獲りつくしているわけだ。

日本は世界のクロマグロの世界総生産量の8〜9割を消費していると言われるので、資源の枯渇は「日本人のせい」ということになる。ちょっと肩身が狭い話だ。今回、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)で「未成魚(30キロ未満)の漁獲を2015年から半減させること」に合意した。資源回復にむけての第一歩を踏み出した格好である。ただ、この合意では幼魚を獲ることを控えただけだから「資源量は回復しない」と言われており、産卵場付近で漁がおこなわれていることなど今後の課題も多い。

今回、対象となったのはクロマグロだが、乱獲により絶滅の危機に貧しているのはそれだけではない。絶滅危惧種を記載したIUCNレッドリストにも全部で8種類あるマグロのうち5種が登録されているというから深刻である。マグロ資源の減少はクロマグロやミナミマグロといった高級マグロだけにとどまらず、すべてのマグロ類が乱獲により減少していることが報告されている。

明治時代、日本人は魚を食べていなかった!? マグロ消費を伸ばした醤油の存在
漁業問題はとりあえず横に置いておいて、日本人と魚との関わり、食文化に目をむけてみよう。意外かもしれないが昔の日本人はそれほど魚を食べてこなかった。明治時代末期(1910年)の一人あたりの年間消費量はわずか3.7キロで現在の10分の1程度だった。魚を食べていたのはあくまで都市部や沿岸の一部の話。保存技術も流通も発達していない時代、滅多に食べられない貴重品だった。

日本人が魚を多く食べるようになったのは戦後になってからで、いわゆる「魚食」が普及したのは1950年代からだ。これは冷蔵庫の普及が大きく関係している。冷蔵庫が普及したことで沿岸部以外の場所でも日常的に魚が食べられるようになった。一般的にはマグロは江戸時代から食べはじめられたと言われているが、江戸都市部の限定的な話で、日本中で食べられていたわけではない。マグロの消費が増えはじめたことの理由として考えられるのは醤油の普及である。醤油は赤身の魚の生臭さを消し、また漬けることにより保存性も高まった。

この頃、好まれていたのはもっぱら赤身。 「ねこまたぎと言われて猫も食べないなんて言われていたんだ。トロは捨ててたらしいよ」というのは寿司屋でおじさんがかなりの高確率で披露する薀蓄である。もっとも明治を舞台にした志賀直哉の『小僧の神様』には「鮪の脂身が食べられる頃だね」というくだりがある。マグロのトロを食べたいのだけれど「でも最近は高くなってしまって……」と登場人物が残念そうに言う。

落語の『目黒のサンマ』や『ネギマの殿様』の例を引くまでもなく、脂を美味しいと思うのは人間の本能だから、下品だといいながら喜んで食べてはいたのかもしれないと思う。

 

 

posted by タマラオ at 06:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記