2015年08月03日

孤高の食材、こんにゃくのイノベーション No4

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従来のこんにゃくもほとんどが水分なのだが、「凍結組織化法」では、さらにコンニャクマンナンの比率を減らし、1%未満とする。 従来の製法だと、コンニャクマンナンの濃度が1%未満では濃度があまりに低いため、アルカリを加えても固まらない。しかし、「凍結組織化法」では、アルカリを加えた液を凍らせるのである。すると、氷になり始めた部分からはコンニャクマンナンとアルカリが追いやられ、まだ氷になっていない水の部分に凝集する。この凝集した部分でゲル化が起き、結果としてスポンジのような性質のこんにゃく加工品が生じる。

「でんぷんなども加えて、食感をしっかりさせました。ナタデココのような加工品になりました」 滝口氏が示してくれた試作品を食べてみると、確かにナタデココのような食
感を覚えた。明らかにこんにゃくの食感とは異なる。 「凍結組織化法」はどのように誕生したのか。実は、食材の開発とは異なる目的で研究をしていたところ、この製法が生まれたのだという。 「こんにゃく粉が海外から不正輸入されることがありました。

ほかの白い粉と混ざると、こんにゃく粉がどのくらい含まれているか分かりません。こんにゃく粉の含有量を検査するため、こんにゃく粉だけを取り出せないかと考えていたのです。粉を薄く水に溶かしてアルカリを加えて冷凍してみたら、こんにゃくの部分だけ固まりました」

こんにゃくとはまったく別のイメージを目指す
滝口氏は、群馬県立産業技術センター定年退職後もフリーランスの立場で、こんにゃくの原料を生かした食品の研究開発を続けている。 「コンニャクマンナンの繊維は水溶性と不溶性の両方の機能をもっています。こんにゃくは不溶性の機能によって作られますが、固まらせる前の水溶性をうまく活用することができれば、面白い食品になると考えています」 現在は、群馬県内にある食品メーカーとともに共同開発を行っている。

まだ、研究開発段階であるため、詳細はまだ明らかにできないというが、凍結組織化法とはまた異なる製法の開発にも着手していると話す。 「基本的には、こんにゃくの粉と凝固剤と水から構成される食品になりますが、いわゆるこんにゃくとはまったく別のイメージのものを目指しています」 もう1つ、滝口氏は、サプリメントのような食品にすることは考えていないことも付け加える。「昭和時代に、こんにゃく粉のまま水に溶かして飲むことがはやったことがあります。

しかし、いくら健康のためとはいえ、そのような飲み方では長続きしないと思います。身近な食べ物として食べていただくことが、長続きする道だと考えています」 今後、こんにゃくと同等の保存性をもたせるなどの課題を解決していけば、商品化が現実的になるという。

まだまだ未発掘の機能があるこんにゃくの原料
前篇で紹介したとおり、日本のこんにゃくは中国から伝来したものと考えられている。その中国では現代、日本で見るような板こんにゃくや糸こんにゃくがさほど食べられていない。こんにゃくという食べものを見たことのない中国人もいるという。
ところが滝口氏によると、こんにゃく芋の生産量は中国が日本を上回っているという。中国の人口が多いことや、日本市場に輸出されていることもあるだろうが、実は、中国国内にはこんにゃくにするのとは別の用途があるのだ。

「中国では、こんにゃく粉がソーセージやハムなどの結着剤として使われています。ヨーロッパなどへ輸出されているとも聞きます。自由な発想で食材を開発する点は学んでよいのではないかと考えています」 製法の革新といったイノベーションを経て、日本のこんにゃくは日本人に定着化していった。将来、そのこんにゃくが日本人にまったく食べられなくなるとことはまずないだろう。 一方で、定着化がこんにゃくの固定的なイメージが生まれた結果、こんにゃく芋やこんにゃく粉の利用法は限定的なものであり続けることになった。

「こんにゃくの原料には、まだまだ未発掘の機能があると考えています」 固定化したイメージの打破がなされたときこそ、現代の“こんにゃくイノベーション”が果たさ

 

 

posted by タマラオ at 06:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記