2015年08月02日

孤高の食材、こんにゃくのイノベーション No3

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42254

おでんなどに欠かせない食材「こんにゃく」の歴史と科学を、前後篇で追っている。前篇では、「こんにゃく史上最大の革新」とも言える、江戸時代のイノベーションを紹介した。生芋から作っていたこんにゃくを、粉から作るようにすることで、原料運搬などの効率が格段に高まり、また、冬場も含めて通年の流通が可能となった。こうして、こんにゃくは広く人びとに浸透していったのである。 日本人にとって定番の食材の1つとなったこんにゃく。いまや「こんにゃく」と聞いて、そのイメージを思い浮かべられない人はいないだろう。

しかし、固定化されたイメージが、逆にこんにゃくのもつ潜在的な可能性から目をそむける結果になっていないだろうか。 後篇では、こんにゃくのイメージを打破して、新たなこんにゃく製品を開発しようとしている人物に登場してもらう。未来食品研究所(群馬県)の滝口強氏は、こんにゃくの主成分の潜在力に着目し、新たな形態のこんにゃく加工品の開発を目指している。こんにゃくのイノベーションは再び起きるだろうか。

伝統食材ゆえの固定観念を打破したい
こんにゃくは、かねてから「腹の砂下し」などの効果が言われ、健康に良い食材とされてきた。現代も、食物繊維が豊富で、かつカロリーがほぼゼロといったことから、ダイエットや健康な食生活のお供として定評がある。ところが、こんにゃくの消費量は年々低下傾向にあるのだ。昭和40年代の水準からすると、1世帯あたりの消費量は半分を切った。2007年から2012年の5年間でも5%減となっている。原料となるこんにゃく芋の生産量も減っている。

昭和40年代、全国での年間生産量は10万トンを超えていたが、近年では5万トン台まで落ち込む年もある。健康志向が高まる昨今でありながらも、こんにゃくがあまり食べられていない。この現状をどう考えればよいのか。 「こんにゃくを使う一般的な料理は、おでんや煮物などがあるくらいで、限られています。日本人は伝統的にこんにゃくを食べてきたから、こんにゃくの粉はこんにゃくになるものという固定観念が強いのでしょう」

滝口強氏。未来食品研究所主宰。群馬県に入庁後、群馬県立産業技術センターに勤務。こんにゃくを始めとする群馬県の特産品を普及させるための農作物や食品技術に関する研究を進めてきた。2011年、上席研究員を最後に群馬県を定年退職後、未来食品研究所を発足させ、技術士(農業部門、 生物工学部門)として活動中。日本技術士会会員。

滝口氏はこう話す。氏は、現在こんにゃく生産量9割を占める群馬県の県立産業技術センターで上席研究員などを務めてきた。2011年に定年退職した後も、「こんにゃく業界への恩返しの思い」から、独立してこんにゃくの加工品などの研究開発に取り組んでいる。 伝統的な食材には、作り方や食べ方の固定観念も強くなる。こんにゃくはそうした食材の1つだというわけだ。 「こんにゃくの食感などを変えるなどすれば、もっとさまざまな料理に使えると、私は考えています」

こんにゃくと異なる食感をこんにゃく成分から実現
こんにゃくをこんにゃくたらしめている主成分に「コンニャクマンナン(グルコマンナン)」がある。グルコース(ぶどう糖)とマンノースとよばれる物質で構成される。白い粉状になったコンニャクマンナンを水と混合すると膨張し、粘稠性のある液になる。これにアルカリを加えると、こんにゃく芋の“えぐみ”が消える。それとともに、グルコースとマンノースが多数つながった鎖状分子が網状構造を形成し、液がゲル状に固くなる。なお、過去はアルカリに草木灰の灰汁(あく)が使われていたが、近年では消石灰や炭酸ソーダなどが使われている。

群馬県立産業技術センター勤務時代、滝口氏は「こんにゃくの機能はそこそこ認知されているにもかかわらず、食べられていない。このままでは現在の製品に未来はない。コンニャクマンナンを素材にした新しい食品の開発が必須」と認識した。こうした危機意識のなかで開発したのが、コンニャクマンナンの固化の仕方を工夫した「凍結組織化法」という製法だ。 従来のこんにゃくの製法では、水に対してコンニャクマンナンを約3%混ぜてこんにゃくを作る。

 

 

posted by タマラオ at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記