2015年07月24日

人口激減の救世主“海のギャング”の魅力 No5

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主だった骨をはずしたうつぼを前に、ひと息ついた細川さんが、ひと言。「もう、これでどこにも骨なんかないように見えるでしょ」。身を触ってみる。つるつる。いっさい骨のゴツゴツ感はない。
――――――はい。出来上がりに見えます。

「まだまだ序の口!身の下に無数の骨があるんです」

切り開いたうつぼ。表面はいたってつるつるできれいに見えるが、この中におびただしい数の骨が!なんとここからは、驚愕の「透視さばき」!身と皮の間の骨を探り当てて、見えていない骨を取り外す。もはや特殊技術である。
骨の場所がわかっていなければさばけない。そのうえ、うつぼは骨の形状も部位によって異なり、さらには骨がまっすぐではなく「ガタツキ」や「カーブ」がある。要は「身の中のどこに、どんな形状の骨があって、包丁をどうやって進めていくか」を覚えていないと、さばけないのだ。まるで「うつぼオペ」。包丁を入れたら「脳内レントゲン」フル稼働である。まさに匠の技だ。

料理店で提供するのだから、もちろん、さばければいいというものではない。「骨に身がつかないようにきっちりさばき、いかに表面を美しく仕上げるか、1匹、1匹が勝負です」と細川さん。じつに神経を研ぎ澄ませで行う作業なのだ。「ピシっとさばけると、『きれいだなあ』と我ながらほれぼれします」。しかし、細川さんの思う、そんなパーフェクトな「芸術作品」は1日の中でも1、2本だという。力も使えば、神経も使う、うつぼさばき。よって作業は「1日50本前後が限界。

100本さばいたときは、腰が抜けそうだった」と細川さん。うつぼの相手は大変なのだ。きれいにさばいたうつぼは部位によって向いている調理がある。真ん中あたりはたたき、肛門から下はから揚げと、うつぼの部位のよって使い分ける。
そして、でき上がった料理は、これまでの「うつぼ概念」を覆すものだった。

刺身はなんとフグ超えの味!お肌すべすべの美容効果も
大吉のうつぼ料理。右手前からうつぼの刺身、たたき、煮込み、雑炊、煮こごり、燻製、唐揚げ。いずれも絶品!透き通った「うつぼの刺身」は、まるでフグのよう。いや、フグよりも、ゴムまりのような弾力があり、噛みしめがいのある食感。やさしい甘みもあって、一切れでもインパクトが強い。口の中で味わいの「リフレインが叫んでる」!これはフグ越えだ!こんがり揚がった「うつぼのから揚げ」はチキンのよう。いや、チキンよりもふっくらとした身に、とろりプルプルのゼラチン部、サクサクした衣が付いた皮のカルテット。

1個でもインパクトが強い。口の中で味わいの「グラデーションが叫んでる」!これはチキン越えだ!うつぼは、外見ばかりか味わいもインパクトが強かった。まだまだ「うつぼ天国」は続く。じっくり絶妙な加減で焼き上げた「うつぼのたたき」は、香ばしい皮、旨みの凝縮した身の食感とプニプニ部がとろける楽しい味わい。うるわしいゼラチン質を堪能するなら、「煮込み」。胃袋や浮き袋などの内臓も入れて、じっくり煮込んで仕上げた濃厚な味と「プルプル、てろてろ、トロトロ」の身に、もうメロメロである。

うつぼの食材としての可能性を追求する細川さんのおすすめは「うつぼの燻製」。桜のチップでスモークすることで、うつぼの旨みが際立ってくる。バーボンが欲しくなる。バーに進出してもおかしくないぞ、うつぼ!……と、ここまで食べ進めて、きれいさっぱり、うつぼのあの「いかつい」姿を忘れている自分がいた。味がぜんぜん「獰猛」でないのである。身の勢いに面影があっても、繊細。「うつぼはうまい!」。海中のエイリアンを解体し、骨とのバトルを越えて、この味わいに至った高知県民、恐るべし。

 

 

posted by タマラオ at 06:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記