2015年07月17日

合成醤油からホンモノ回帰への長すぎた道のり No3

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大量生産品から昔ながらの味へ 戦後を終えた醤油はさらに美味しくなる
昔ながらの樽でつくられる醤油。濃厚で塩味がキリリと立った関東風の味だ 見学させていただいた蔵では、積み上げられた歳月を感じた。目に見えないものが醤油の味をつくっているのだ。有田屋のウェブページには「わたくしどもは決して醤油づくりのプロフェッショナルではありません」という文章がある。「醤油は人間の力だけでできるものではないということです。それぞれの要素がうまく働いてくれるようにお手伝いするような気持ちでないといけない。

前の工場長も腕は良かったのですが、今の工場長も非常にいい職人なので、頑張ってくれています。昔と比べてもちゃんとした醤油がつくれていると思います」有田屋には直営店があり、様々な醤油が並べられている。なかでも〈フコク印天然醸造醤油〉は有田屋を象徴する醤油だと思う。2年かけて仕込んだ醤油を割り、さらに醤油麹を足し1年発酵させた再仕込醤油だ。

「明治時代のパッケージを再現したものです」
長い年月をかけてつくられたその味はまろかやかで、甘露醤油という別名にふさわしい。それにしても日本料理は西洋の料理に比べて出汁ひとつとっても短時間で出来上がるのだが、昆布は数年間寝かせ(本連載第16回参照)、鰹節も本枯節が2年以上、醤油も2年と時間を食べているようなものだ、と思う。

──再仕込醤油はいつからつくりはじめたんですか?
「先代が「もっと旨いものがつくれないか」と手がけはじめたものです。一度、つくった醤油でさらに醤油をつくるわけですから非効率そのもの(笑)。でも、流行りに左右されない。時代に逆行するのはうちの家系みたいです。だから、仕方がないというか。今の世の中はすぐ食べられるものばかりじゃないですか。基礎調味料はあたりまえすぎて重要視されない」

メルセデス・ベンツのウニモグ。1978年式、排気量は5670cc。このトラックで配達もしているという。ちなみに湯浅社長は大のクラシックカー好き

──醤油の消費が落ちる反面、めんつゆなどの売上が伸びていると聞きます。
「専用醤油ですね。うちもつくっちゃってますけど(笑)。でもうちは言ってみれば不便さを売りにしています。すき焼きのたれとかもつくりますけど、ご家庭でつくっていただけたほうが絶対に美味しいですよ。そうした家庭の味をつくっていただいて、それを受け継いでいっていただく。そうしたことのお手伝いをしていきたいと思っています」

 

 

posted by タマラオ at 06:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記