2015年07月11日

実は凄かった!木の食品包装「経木」の天然パワー No2

033.JPG
http://diamond.jp/articles/-/71380

「そんな時代でしたから父も『この仕事は時代遅れだから』と言っていました。それで私自身はプラスチック包装容器を製造する会社に勤めていたんです」ところが身内に不幸があったことで阿部さんは経木店に戻り、家業を継ぐことになる。今は息子さんと二人で経木店の伝統を守っている。プラスチック包装業界と経木の世界の両方を経験している人の話だけに重みがあった。

──戻ってみてどうでしたか?
「やはり、価格面など辛い部分もありますよね。一番大きなネックは大量生産ができないことです。ただ、良さはやっぱり感じますよね。ほとんど残すことなくすべて利用してます。木は本当に捨てる場所がないんです。丸い木を四角にすると外側が出ますでしょ。それは焼き物の薪になるんです。木くずは牛舎の下にまいたり、木片は果樹園。時々、木の下に撒かれているのを見たことありませんか?そんな風にまったく捨てないで最後の最後まで利用してもらえます」

灰かぶりの焼き物には松の薪が欠かせない。また牛舎や果樹に使われるのは土に還る木の性質を利用したものだ。世の中は有機的に繋がっているので、経木造りが途絶えてしまうとその影響は大きい。

──とにかく機能性が優れているので、そうした利点が知られてもいいように思うのですが。
「そうですね。うちの息子夫婦の家なども揚げ物をするときは皿に敷いて使っています。油を吸ってくれ、洗い物も楽だと言っています。焼き餃子にもいいです。例えば大手の居酒屋さんなどが使ってくれるようになると、経木がもっと身近になるとは思うんですけど」

「経木で包まれたおにぎり」には日本人が失ってはいない何か、がある
「元々、このあたりは繊維産業が盛んだったのでこうした機械の技術が発達したんですね」と阿部さん製造の現場を見せていただく。工場には古びた機械が二つ並んでいて、奥には刃を研ぐ研磨機がある。 「機械は大工さんの削
る鉋を裏返しにしたようなものです。やはり、ある程度の固い木を薄く削っていくので、節やなんかにあたると刃が欠けてしまったりします。ですから、そのたびに研ぎ直すことになるんですが、昔はグラインダーや砥石を使っていたので非常に難しい技術だったんです。今は研磨機があるので、それに任せられますが」

言ってみれば巨大な鰹節削り器のようだ。木が前後に動き、紙のように薄く削られた木が出てくる。詳しくは動画を見ればわかるがはっきり言って怖い。怖くないですか、と息子さんに尋ねたら「最初は怖かったのですが、慣れました(笑)」と軽く答えられた。 「逆目にならないように削っていきます。木の目は経木の品質に関わってきま
すし、厚さはやはり感覚なのでそこは神経を使います」四角い塊を削るのだが、そこも簡単ではない。自然の木には表と裏がある。

日光のあたっている面は成長が早く木の目が大きくなるが、影になる裏側は成長が遅いため目が細かくなる。当然、固さにも違いが出てくるので、均質に削っていくのには注意が必要だ。 「削られたものを今度、洗濯機
にかけて水分を除去します。遠心分離機にかけると水が驚くほど出てきますよ。そうして脱水したものを今度は二階で乾燥させます」建物の二階では束ねられた経木が風に揺れていた。経木の無垢な白さが光を受け、きれいな風景をつくっている。

自然乾燥なので、梅雨時の湿気は経木の敵だそう。乾燥したものを今度は挟んで平らにする。一枚の経木が出来上がるまでには手間と時間がかかっている。経木は風で乾燥させる。環境も品質の高さを守る要素の一つ 「私が子どもの
時はアルミホイルが出はじめた頃でね。遠足なんかに行く時にうちだけおにぎりが経木に包んであるのが嫌でしょうがなかった(笑)。今はまったくの逆ですよね。温かみがあっていい、という話になるし、なにより経木に包むと食べるときに海苔が手につかないんですよ」

経木はお弁当にも適している。底に敷けば汁気を吸いとり、おにぎりを包めば調湿作用があるのでご飯もおひつに入れたように美味しくなる。いつものラップやアルミホイルではなくて、経木でおにぎりを包んでみよう。包むという行為が美しいのはものだけではなく心まで込められているからだ。そこには単なるノスタルジーではなく、日本人が失ってはいけないなにかが含まれている。

 

 

posted by タマラオ at 07:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記