2015年06月19日

シャープが考え抜いた「失敗の本質」 No6

132.JPG
13年度の連結業績は、売上高2兆9271億円に対して営業利益1085億円、純利益115億円を上げた。中計の目標「営業利益800億円、純利益50億円」を上回る結果を出したわけだが、実力通りの数字とは言えなかった。 1000億円を超した営業利益には、給与カットや中国電子信息産業集団への技術供与に伴う技術料収入などが含まれている。「それらを全部除くと、550億―560億円です」と高橋は説明する。15年3月期は、中計の目標「営業利益1100億円、純利益400億円」を、それぞれ1000億円と300億円に引き下げた。

「すべての銀行が認めてくれましたが、本来、誓約条項に触れるとして、融資を引き揚げられても文句を言えません」。きわどく認めてもらった「営業利益1000億円」という目標は、「実質的に、前期の倍の営業利益を上げなければならないので、実は大変なんです」。高橋の話を聞けば、なるほど綱渡りである。

経営危機の主因「液晶」が今も屋台骨
中計の最終年度の16年3月期には、売上高3兆円、営業利益1500億円、純利益800億円を達成しなければならない。当面頼れるのは手持ちの事業しかない。同社の部門別の業績を14年9月中間期について見ると、液晶が売り上げ、営業利益ともに全社の中で最大である。液晶の売上高は単純合計した全体の30%を超え、営業利益では42%を占め、売上高営業利益率は4.5%である。過大投資によって経営危機の主因になった液晶が、なぜ今も屋台骨なのか。

従来、米国のアップルなどの少数の顧客に依存していた。過剰在庫を処分し、中国の新興スマートフォンメーカーなどに顧客を広げ、中小型液晶の販売を伸ばして収益性を改善した結果である。市場開拓の武器として、独自に開発した省エネタイプの高精細液晶「IGZO(イグゾー)」の売り込みを積極的はかっている。他の主要事業でも、これといって撤退したものはない。NECがスマホから撤退し、パナソニックも国内の個人向けスマホ事業をたたんだ。

「アナリストは『いつになったら、スマホを止めるのか』と言うが、うちのスマホは黒字なのに、なぜ止めなくてはならないのですか」。高橋は紋切り型の質問にうんざりしているようだ。「みんな、事業をどれ一つ切ろうとしない『頼りない社長』と言うけど、違いますって」。 実際の事業を運営しているのは、液晶などを担当するデバイスビジネスグループとテレビや家電などを担当するプロダクトビジネスグループである。前者は専務執行役員の方志教和が後者は同じく中山藤一がそれぞれ担当しており、2人とも代表取締役である。

入社年次で2人は高橋より2、3年先輩になり、執行役員になったのは同じ年である。高橋は「方志と中山に権限の多くを移しています。彼らのビジネスには、やたらに口を出しません。彼らが助けてくれと言えば、対応しますが」と語る。月々の売り上げ状況がどうなっているかなどは、各ビジネスグループに任せている。 「両専務の責任は重いんです。当月の売り上げ見込みなどは書面でもらいます。時々、これはどうするんだろう? と思うこともありますが、黙っています」。

高橋は割り切っているようだが、微妙な緊張感をはらんだ任せる経営である。 しかし中小型液晶などでの実績を見ると、自由度を増した体制は成果を上げている。ビジネスグループによる運営の妙を大西はこう解説する。「方志と中山に各グループ内の人事権を与えて、開発から営業まで一気通貫でやれるようにしています」。例えば、企業向けの営業では、顧客に提案する段階から設計、製造、納入まで各機能が一体になってセールスしなければ円滑に進まない。

以前は、販売本部は自分の判断で動くという具合にばらばらだった。「今はデバイスなら方志がトップセールスで顧客と話をつなぎ、あとは各担当が一体になって顧客のニーズに沿った営業を展開しています」。

 

 

posted by タマラオ at 06:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記