2015年06月04日

隅田川の宇宙船に乗ったことがありますか    No3

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様々な制約が魅力創出を阻害している
実際にどのくらいの外国人が水上バスを利用しているのか東京都観光汽船に尋ねると、厳密な把握は難しいとのことでした。水上バスは乗り合いバスと同様で、乗船名簿がないためです。一日に平均5件ほど英語での問い合わせがあるとのことですが、ヒミコとホタルナはウェブで予約ができるため、正確な人数は把握できないとのことでした。 同社のパンフレットや音声ガイドは英語、韓国語、簡体・繁体中文などに対応しています。しかし細かな修正の度に発生するメンテナンスコストが想像以上にかさみ、中小企業にとっては負担が大きいといいます。

ホームページでは一部で英語表記を併記。過去にはホームページにも中国語の情報を載せたことがあったそうですが、更新するたびに翻訳コストもかかるため現在は中止しており、訪日客への対応は英語のみとしています。多言語対応は国や行政にとってはマストですが、中小企業にとっては現状の中でやることとやらないことを決めることも重要です。個人手配の旅行をする人たちの多くは英語を話し、必ずしも多言語対応が必要でない場合もあります。

訪日観光誘致の取り組みはしたいが、現状では限界があるというのがこうした中小企業の率直な声です。船内で提供している観光の音声ガイドも、単に日本語のガイドを翻訳しただけでは、外国人にとっては面白みに欠けるといいます。よく知らない日本の歴史や橋の話は外国人にとってはつまらないのです。現在、国や行政が作製・配布している多くのガイドも、必ずしも外国人が求めるコンテンツになっていないことも考えられます。

ロンドンのテムズ川ではGPS(全地球測位システム)を利用した多言語イヤホンガイドを船に搭載し、クルーズ中に見えるスポットの解説を聞くことができます。地域の観光案内は民間企業が個々にコストを負うのではなく、共通のコンテンツを作って利用できるようにしたり、内容の自動更新がされたりすれば、企業は本業に特化でき、新たな価値を創出する仕事が可能になるのではないでしょうか。同じような目的や内容のホームページやパンフレットを複数の機関や組織が作成していますが、情報を集約して内容を充実させることが求められます。

現行法による制約もあります。隅田川にかかる清洲橋・永代橋・勝鬨橋の3つの橋は国の重要文化財に指定されており、他の橋も都指定の歴史的建造物で、GPS等の設置が難しいといいます。また隅田川は台東・墨田・中央・江東・荒川の5つの区にまたがっているため、何かを提案をするにしても、国や東京都を含めて7つもの役所に働きかける必要があります。 こうしたことは船に限らず、観光産業の活性化と成長を大きく妨げるものです。様々な規制緩和を含めて、日本の魅力的な資源が意義あるかたちで活用されることを期待するものです。

川沿いエリアの回遊で、新たな観光資源が誕生する
隅田川沿いには江戸情緒を残す浅草・向島、両国、人形町、築地、月島、佃など、美しい町並みや歴史的な建造物が数多く残されています。本来、このエリアは浅草同様、もっと海外から脚光を浴びて良い場所のはずです。隅田川沿いには、浅草から東京湾に出る間に、両国、聖路加前などの船着き場では一部水上バスが定期運航されていますが、水上交通を活用してこれらの地域を周遊観光したり、気軽な観光の足として船を活用し、それぞれの町にアクセスできるようにはなっていません。

東京都内には災害時に使える防災船着き場が61カ所ありますが、一部を除き、開放は進んでいません。
東日本大震災で多くの帰宅困難者が出た際には、代替交通としての水上交通の可能性や、東京湾や河川にある船着き場の開放なども検討されました。しかし、船着き場を開放するためにはそこを管理する施設や人が必要となり、そのコストをどうするかが大きな課題となっています。 浅草の船着き場は吾妻橋のそばにあり、スカイツリーを目の前にしています。船着き場から横断歩道を一つ渡れば、銀座線・都営線・東武鉄道の浅草駅があり、その先には浅草寺や仲見世があります。

 

 

posted by タマラオ at 07:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記