2015年04月29日

地元の人も知らない「平塚漁港」はいかに知名度を上げたか No7

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史上最強の「ハマの食堂」で“高く買って安く売る”がなぜできる?
店内の雰囲気は「食堂」というより「レストラン」。天井が高く、居心地がよい。釣船で釣った魚の持ち込み調理も行っている(要予約)常盤さんはこれまでの経験をフル活用することになった。「店の雰囲気、メニュー構成、料理の内容、提供方法含めて、まず一軒の『飲食店』として、『よい店だ』とお客さんに思っていただけるレベルでなくては」と店の隅々にまで、常盤さんのこだわりが行き届いている。だから、よくある「港の食堂」とは大違いだ。

店舗のデザイン、設計から携わった店舗は「食堂」とはいっても「せっかくお越しいただくのに、いかにも食堂といった掘立小屋のようにはしたくない」(常盤さん)と、「木材をいかしたおしゃれな雰囲気。天井が高く、開放的な、まるでカフェのような居心地のよい空間だ。メニューも、その日の朝獲れた魚を使った刺身からフライ、煮物、焼き物だけでなく、ひと手間かけたひつまぶし膳や、タルタル風、チーズ焼きなどバラエティに溢れる。

それでも、あくまで「地元の人々に日常的に通ってもらいたい」から「平均予算は1000円」という価格帯にこだわった。だからメニューの価格は高くても2000円切り。しかし、その価格からは考えられないほど「満足度」が高いのが、この食堂の凄いところだ。

「おまかせ刺盛膳」。刺身もフライも、あらでとった味噌汁も絶品!
まずは見ていただきたい。食堂で大人気の「おまかせ刺盛膳」は、「刺身6点、フライ2点、あらでとった味噌汁、小鉢、香の物、ごはん大盛無料」で1480円。テーブルいっぱいに広がる定食は、正直、都会なら2、3人分はあろうかというボリューム。しかも絶品だった。また、食堂の料理であるにもかかわらず、日本料理店かのごとく美しく盛り付けられているのも感動体験。取材時に提供されたホウボウの刺身には、桜の塩漬けが散りばめられ、春の彩りが演出されている。

それもそのはず、平塚の魚を見事な「晴れ姿」で送り出す、料理長の今泉尊文さんは、かつて都内の懐石料理店で腕を振るっていた。「ホウボウの刺身」。登場する魚は毎日の水揚げ次第。ちなみにこの日は2、3人前はありそうなボリュームで驚愕の880円だった。正直、港の食堂で「活きがいいから美味しいね」という満足はしても、トータルとしてこれだけの「感動」を味わえるという意味においては、史上最強の「ハマの食堂」。湘南らしいセンスのいい「食堂」は、もはや「平塚の美味しすぎるお魚アミューズメントパーク」だ。

この感動で「奇跡の価格」を維持できる理由は、ほかならぬ6次化の課題である「低利用魚」の活用にある。いわゆる定番の魚だけでなく、規格外の小魚や知名度のない魚を使いこなしたメニューだからこそ成し得るのだ。ただ、「奇跡の価格」を維持するために、安く魚を仕入れるわけにはいかない。都市部に出せば高く売れるものを、地産地消のために安く地元に売ることで、漁師の減収につながっては意味がない。

「かといって、今日はタイが高かったから『カルパッチョは2000円です』なんて、お客さんに出したとしたら『なんで平塚なのに、そんな値段!?』と誰も手を出しません。僕たちだって、損をしてまで安くは出せない。誰かが無理をしたり、損をするのでは限界があります」(常盤さん)だから、「高く買って安く売る」努力をしているという。高いものは高いまま、買う。そして、大量に獲れて値が安い魚と、低利用魚は安いまま多く買う。そして、その価値を高めて、たくさん売る。

 

 

posted by タマラオ at 05:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記