2015年03月18日

ドンキホーテはなぜここまで強くなったのか No2

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■ 卓越した陳列
しかしそれにしても、こうした廃盤品のほか、季節外れになってしまった処分品などを仕入れて高値で売るモデルは、その後にはじめるドンキホーテの方程式として定着していく。社内的な用語ではこれを「スポット仕入れ」と呼ぶ。いわば、非定期的な仕入れ品のことだ。ドンキホーテはこれが実に売上高の3〜4割を占める。これは、説明したとおり仕入れ価格が安いために、定期仕入品よりも粗利益が多くとれる。

むしろ、ドンキホーテのビジネスモデルは、定番品とともに、スポット商品を買ってもらうことで、トータルとして粗利益を確保する戦略である。圧縮陳列なども、「いつの間にか高粗利益商品を買わせる」しかけとして現在は作動している。圧縮陳列だけが有名になっているドンキホーテだが、他にも工夫が散りばめられている。たとえば入り口から店内を眺めてみよう。すると、手前の棚は低く奥まで見渡せ、視線の先には目玉商品が置かれている。

お客は奥に進み滞在時間が増えるほど商品を購入する。また、店内の通路が曲線になっているところが多いのも同じ理由だ。 購買年齢層にあわせて棚の高さを調整するのはもちろんとして、親子連れがやってくるキャラクター商品は、何段かに分けて陳列している。抱っこされた子どもがキャラクター商品を見つけたとき、抱っこから下ろされた子どもがその商品をつかめるためだ。もちろん有名商品の隣には、比較対象として粗利益の大きいプライベートブランド商品(「情熱価格」)が陳列されている。

ドンキホーテはラックジョバーも活用している。ラックジョバーとは、店舗の棚にかかわる管理をまかされた問屋だ。問屋が商品供給を担うのにたいし、ラックジョバーは陳列や売り方そのものに踏み込む。ドンキホーテは、これらサプライヤーとの密接な関係をつくることでオリジナリティを発揮してきた。日本型小売業ではラックジョバーをほとんど活用していないが、圧縮陳列などの施策は、このラックジョバーとともに拡充してきた。

ドンキホーテはどこまでも「お客を第一」とする。イメージとは異なり、いわゆる奇をてらった商法を志向したことがない。お客にあわせて自社を柔軟に変えようとしてきた。安田氏はいくつものインタビューで、「当社はあえて言えば勝負をしない会社」と断言しているほどだ。ただし、社員に“任せる”点では、あまりに勝負している。 1店舗あたりのアイテム数は4万〜6万点。大型店MEGAドンキホーテなら4万〜10万点となる。それはコンビニエンスストアの3000アイテムと比べると13倍以上にもなる。

これは大型スーパーとも負けない品ぞろえだ。スーパーは苦戦を強いられているのに、ドンキホーテは増収増益を続ける。 その秘訣を安田会長は「微調整」なる言葉で表現している。右肩上がりの経済下では、本社が一手に商品や価格決定を担い、棚をデザインすることもできる。しかし、現代においては、むしろ現場に大幅な権限を委譲する必要があるのだ、と。

 

 

posted by タマラオ at 06:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記