2015年03月11日

日本を見る眼が変わり始めた中国の人々 No1

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https://www.blwisdom.com/strategy/series/china/item/10000-66.html?mid=w498h90100000995646

今年は2月19日が旧暦の元旦で、中国では国を挙げてお正月(春節)モードになる。お正月は故郷で過ごすのが定番ではあるが、最近は貴重なまとまった休みだから海外に行ってしまおうという人も増えている。  中国人の訪日旅
行や買い物ブームが空前の盛り上がりを見せていることはお聞き呼びのことと思う。その直接的なきっかけは円安で日本の商品やサービスが一気に割安になったことだが、これはいわば外部的な環境の話である。

今回、中国の人々の日本に対する関心が急激に高まっている背景には、こうした外部要因に加え、中国人、中国社会の「心の持ち方」の変化という内部的な要因がある。実はこちらのほうが本質的な話と言えるかもしれない。今回はこの話をしたい。

新しい消費者の出現
1月下旬、ある著名な中国の経済ジャーナリストが発表した文章が、あっと言う間に全国に拡散、国営テレビや中国共産党機関紙までがその現象を取り上げるという一種の社会現象にまでなった。「日本に行って温水便座を買う」と題するその文章は、中国では最も著名な経済ジャーナリストの一人、呉暁波氏が書いたものだ。日本のメディアでも一部、伝えられたのでご覧になった方もあるかもしれない。

「洗浄便座作れる日本を見習え」 中国の共産党機関紙、日本ほめる異例のコラム(産経ニュース2015年2月9日)
仕事上の会議のために沖縄を訪れた筆者(呉氏)は、そこで大量の電気炊飯器を購入する中国人旅行客の一群に遭遇する。1人で6個も買っている人がいる。話には聞いていたが、日本の炊飯器はそこまで魅力的なのか。筆者は帰国後、広東省に講演に出かけた際、中国最大の電気炊飯器メーカーの技術者にわざわざ会い、聞いてみた。

「日本の電気釜は本当にそんなにすごいのか」  「材料に大きな技術革新がある。米粒が輝いていて、ベタつかず、本当に素晴らしい。サンプルを買ってきて研究している」  「それでもできないのか」  「い
まのところ方法がない」
その他、作者が例として挙げたのは、髪がサラサラになるナノケアドライヤー、力を入れなくても切れるセラミック製の包丁、朝入れたお湯が昼になっても熱くて飲めない保温ボトル、ドイツ製より軽くて汚れが良く落ちる電動歯ブラシ……。

そして極めつけが文章のタイトルにもなっている温水便座である。中国国内の便器を研究し、ほぼすべての便器に取り付けられるようになっているという。「中国の団体客が来ると、あっと言う間に売り切れます」という日本の店員の話を伝えている。
作者は、中国の製造業がコスト優位を失いつつあること、「売り手市場」が長く続いた中国の販売体制の欠陥、「何もしなければ死を待つのみだが、何かしようとすれば自滅する」という中国の経営者の不安心理――の問題を指摘した後、以下のように述べる  「日本企業が追求してきたのはシンプルなことである。

米が輝いてベタつかないこと、髪がさわやかに乾くこと、女性が手に持っても簡単に切れること、雪の中でも温かい飲み物が飲めること、あなたのお尻がきれいに、さわやかになること……。本業に徹し、他人に頼らず、技術革新に賭け、量を追わずに質を追求してきた。これこそが中国の製造業が目指すべき道である。」 「中国では中産階級の消費者が増え、技術や
性能にお金を払う人々が増えている。彼(女)らは簡単に騙されないし、派手な広告に踊らされたりもしない。

このような理性的な消費者が出現してきたことは、中国の製造業が大きな転換点に来ていることを示している。中国の中産階級が海を越えて温水便座を買いに行かなくても済む日は来るのであろうか……。」  あえておこがまし
い言い方をさせてもらえば、「ようやくわかってくれたか、君たち」と言いたくなるような文章である。この極めてまっとうな、当たり前といえば当たり前の文章が全国的な評判を呼び、中央テレビ局や共産党機関紙までがその話題を取り上げるテーマとなったというあたりに、いまの中国の気分が現れている。  

一口でいえば、筆者の呉氏も指摘しているように、成熟した、冷静な人々が増えてきた。自分自身の判断力を持ち、自分自身の基準で「いいものはいい。ダメなものはダメ」という見極めができる。そして「良い」と思ったものは、実際に買う。それだけの経済力を持っている。そういう人が、少なくとも都市部には層となって現れてきた。  そんな基盤あっての「日本旅行
ブーム」なのである。

 

 

posted by タマラオ at 05:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記