2015年03月06日

自衛隊出身者初の宇宙飛行士 No4

026.JPG
――宇宙飛行士の訓練のなかで最も厳しかったものを教えてください。
極寒のロシアで行なわれたサバイバル訓練 最も厳しかったのは、訓練ではなく試験でした。合格しなければ飛べないので緊張感があります。また、JAXAの宇宙飛行士という看板も背負っているので、プレッシャーもかかりました。そこでよい評価を得られれば自信にもなるし、誇りにもなります。訓練のなかでは、サバイバル訓練は非常に厳しい環境です。ロシアではマイナス25度のなかで野宿をしたこともあります。

とても苦労しましたが、大変な状況であるほど、一緒に訓練をした仲間同士の絆は強くなるので、それはそれでいいことですね。やり遂げた後に自分が成長した感じもあります。だからこそ、訓練は厳しくあるべきだと思います。

ただし、単に厳しいだけではなく、サポートもしっかりしていました。悩んでいる人を見たら、温かい言葉をかけてくれることもあります。仲間のなかには経験者が必ずいて、彼らも同じような悩みを抱えたことがあります。私が失敗したときも船長や経験者が、「こういうことはよくあるし、俺も失敗した。訓練だからよかったと思い、これからは気をつけろ」とサポートしてくれました。宇宙飛行士に選抜された時点で、心の強さを持っている人ばかりです。

仲間を見ても、ちょっとやそっとではへこたれません。ただ、そういう人間でも失敗することはあります。それをカバーするのはお互いのチームワークです。こうした心のサポートがしっかりしているのも、これまでの訓練の積み重ねがあってこそではないでしょうか。

――厳しい選抜試験のなかで、最も思い出に残っているものは何ですか。
カプセルのなかに1週間籠って試験を受けたのは、いい思い出でもあります。とても楽しかった。それは一生の友人ができたからです。そのときは全員を信頼していたので、試験が終わったときは、だれが受かってもいいと思っていました。選抜試験ではありますが、そう思えるほど、一人ひとりが優れているところを持っていたと思います。だからこそ、試験が終わった後に、「カプセルで過ごした仲間のなかで、だれとは宇宙に行きたくないですか」と聞かれたのは辛かったです。

「人物を教えてください、理由も一緒に」と言われました。試験の課題だったため仕方なく答えましたが、心の中では、こんな質問には答えられないと思っていましたよ。

――試験の環境では、チームワークより競争心が勝ることはありませんか。
厳しい訓練を乗り越えて生涯の仲間を得る そうした気持ちもあるとは思います。ただ、お互いが協力して、チーム全体として結果が出たほうがいいという考える人たちが宇宙飛行士になっていることも事実です。結局、ライバルとして高め合う競争ならよいが、足を引っ張り合うような競争があったとしたら、全体としてのアウトプットがマイナスになります。それは個人にとってもよいことではありません。

――油井さんは、昨年日本人初のISS(国際宇宙ステーション)船長を務めた若田光一さんのことを尊敬されているとお話をされていました。一方で、若田さんにも負けない部分を挙げるとしたら何でしょうか。
その質問に答えるのは非常に難しいですね(笑)。努力することに関しては自信があります。目標が非常に高いところにあり、そこに向けて毎日少しずつ努力できるところが私の強みの一つです。アメリカやロシアの飛行士からも、それについてはそれなりの評価を受けていると思っています。ただ、若田さんは努力でも私より上ですからね。自分でも努力したと自負しているのは、言葉の面です。周囲も、「お前は本当に上手にロシア語を話す」と言ってくれます。

言葉がわからなければチームワークも生まれません。若田さんのように、冗談まで言えるほうが結束力は高まります。冗談を教えてもらうこともありますよ。「おもしろいフレーズはあるか」と聞いたことがあります。そのフレーズを覚えておいて、使える状況が来たときにパッと言うと、笑ってくれます。場が和むし親近感を持ってもらえるので、そのための努力もしていました。

 

 

posted by タマラオ at 05:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記