2015年02月27日

『なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか』 No13

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クリエイティブになりたいなら旅に出よ

柳川「クリエイティブな発想は、どう生み出せばいいですか?」

松嶋「フランス人にクリエイティビティがあるのはなぜだかわかりますか?それは年間5週間も休むからです」

柳川いま日本企業の多くが、クリエイティビティがある新しい製品、良い製品を生み出さないと生き残れないと考えています。でも、クリエイティビティはどうすれば生まれるか、どう社員にクリエイティブな仕事をさせるか、どの会社も悩んでいると思うんですね。分野は違いますが、クリエイティブな発想は、どう生み出せばいいでしょうか?

松嶋僕自身は、すごくクリエイティブに生きていると自負できます。フランスに飛び出したこともクリエイティブですし、フランスに住んでなぜフランス人にクリエイティビティがあるのか、どこから生まれるかを自分自身で整理してきましたから。
フランス人がクリエイティブなのは、年間5週間も休むからです。また、インスピレーションの受け方にも秘密があります。なぜみんなバカンスで南仏に行くと思いますか。それは、あれらの場所が“国際的なハブ”だからです。

多くの人が休みに来ていて、いろんな出会いや体験でいろんな情報が得られるからこそ、クリエイティブになれるのです。僕のお店は、LVMHグループのリブランディングをしている方がアートディレクターなのですが、彼とクリエイティブとは何か談義したんです。すると彼は「クリエイティブとはエゴイストだ」と言うんです。「エゴイストはみんなわがままで、性格が悪くてきつい人だ。それは、自分の意見を通したいから、自分を守りたいからだ。では、最高のエゴイストは誰か。

それは出産前の女性だ」と彼は教えてくれました。母親は、生まれてくる子どもを守らなければなりませんから。世界最高のクリエイティブとは、子どもが生まれること。女性は子どもを産むことに対していろいろと知識と情報を得なければならない。子どもを大きくするために大切なのは、栄養ですよね。いろんな栄養を摂って子どもを大きくして膨れて爆発したエネルギーが出産です。クリエイターも、そうでなければならないというのが彼の持論でした。つまり、情報、知識をいろんなところから集めて、溜めたものを爆発させるから新たなものが生まれるのです。

柳川つまり、料理をつくる理由や食材の歴史などを情報として溜め込むってことですね。

松嶋あと僕が必要としている経験は、旅です。クリエイティビティ=移動距離だと思っているので。とにかく移動しないと、クリエイティビティは生まれてこないですよ。どれだけ移動して、どれだけ視点を変えて、いろんな景色を見るかが大切です。僕は若い頃からいつも相手の立場から自分がどう思われるか、10通りの見方をしようと思っていました。それはクリエイティブのなかでもすごく大事なことだと思います。原宿のことを福岡から見るのと、ニースから見るのと、パリから見るのと、ニューヨークから見るのとでは、景色が全然違います。

そうして客観的になれることもクリエイティブになるための1つでしょう。同じ場所にいてはクリエイティブになれません。日本人なら東京だけにいてもクリエイティブにはなれませんよ。旅は、新しいものを取り入れる手段でもあるし、旅をすることによって距離をおいて違う見方をすることもできます。僕はその両方を上手にバランスとりながら、いつもメニューを考えています。

柳川新しいアイデアを生み出そうとすると、生み出すことばかり考えてしまって、それだけを見つめてしまったり、情報を取り入れることを疎かにしがちです。いろんな知識を持っていないと、アイデアは生まれないという良い例ですね。
失礼な言い方かもしれませんが、シェフの方がこうして街の歴史や食材の流れついた経緯をご存じなのは、とても新鮮な驚きがありました。それが新しいものを生み出す原動力というのは、すごくおもしろいと思います。

 

 

posted by タマラオ at 06:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記