2015年02月09日

海外向け医療ビジネスの皮算用 No1

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「アジア内需を取り込め」。日本の産業界の合言葉になっているフレーズだが、典型的な内需型ビジネスだった医療界にもアジアなど海外での事業拡大を目指す動きが少しずつ広がり始めている。今、世界的にまず目立っているのが自国外で検診や治療を受けようというメディカル・ツーリズムの動きだ。先進国からアジア、東欧などの低コスト国に旅行し、現地で2週間から数カ月といった時間をかけ、病院にかかるケースだ。

途上国の医療水準が特定の病院に関しては急激に向上していることに加え、新しい病院であればあるほど最新鋭の設備を備えている点に優位性がある。米国では心筋梗塞の治療となる心臓バイパス手術は6万〜8万ドル掛かるといわれるが、タイの外国人向け病院では2万ドル程度ですべて賄え、患者にはコスト的な魅力がある。一方、日本では「MRIで診断を受けたいものの、閉所恐怖症で無理」という患者が、韓国やタイなどで最新鋭のオープンMRIを備えた病院を訪問するケースが出てきているという。

サウジアラビアやカタールなど中東産油国の富裕層は従来から介護などのサービスレベルに注目し、タイやマレーシアの病院に入院するケースもある。ただ、そうしたメディカル・ツーリズムは日本の医療界にとって顧客の海外流出になっており、決して歓迎すべき動きではない。そこで、逆に日本の医療機関、医師、看護師などが海外に進出し、現地需要を獲得しようという動きが出ている。医療の日本国内の需要は伸び続けており、内需が飽和化したわけではないが、診療報酬の頭打ち、薬価の引き下げなど経営的には厳しさを増しており、海外で高付加価値の医療需要を取り込もうとするのは、当然の動きといえる。

欧州の中流層にも浸透する可能性が
日本において海外での病院経営の嚆矢となったのは、医療法人徳州会のブルガリア進出だろう。ブルガリアは高度な総合的医療を行える大病院が少ない一方、外資規制が緩かったことが決め手となり、2006年12月に1016床のベッド数を誇る大病院を首都ソフィアにオープンさせた。外来、入院の両方を完全に分化させて展開しており、周辺の東欧諸国からの訪問患者もいるという。徳州会は病院の合理的な運営・管理に独自のノウハウを持っており、それを強みに国内で病院チェーンを展開してきたが、それをグローバルに広げる狙いといえる。

ブルガリアは欧州連合(EU)加盟国であり、EU域内での医療活動に国境はない。医師や看護師などの移動も自由なことから、ブルガリアで育成した医療スタッフを活用してEU域内に病院チェーンを展開することも可能だ。欧州の医療サービスの水準は国によってまちまちだが、イギリス・ロンドンの著名個人医のような「ハイコスト・ハイサービス」か、完全な公的医療で入院が数カ月待ち、初診に1日がかりといった「ローコスト・ローサービス」に二極分化しているケースが多い。

 

 

posted by タマラオ at 05:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記