2015年02月04日

漁獲量日本一なのに誰も知らない No4

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しらうお漁獲量日本一を誇る、青森県東部に位置する東北町・小川原(おがわら)湖。全国一の漁獲量である、しらうお、わかさぎ、そして大和しじみや、天然うなぎ、もくずがになど、多種多様な魚介類が、古くから地域の生活や文化を支えてきた。前回お伝えしたように、私をはじめ全国的にも多くの人が小川原湖のことをまったく知らない。かの有名な十和田湖をしのぐ、青森でいちばん大きい湖にもかかわらずだ。そんな小川原湖のブランド力と知名度を強化するために選ばれたのが、料亭や割烹な
どにも卸されている高級魚の「しらうお」だった。

水揚げ後すぐ死んでしまう「しらうお」を陸で生かすことに成功したえび蔵さん
東北町にはおそらく「日本一しらうおに情熱を燃やしている」人物がいる。市内のレストラン「えび蔵」店主である蛯名正直さん。地元の特産をいかした町づくりがしたいという想いから、しらうおに注目。研究を重ねてきた。そのうえ、さらにはなんと、「絶対に不可能」と言われていたしらうおを生かす技術に日本で初めて成功。水揚げしたらすぐに死んでしまうしらうおを、なんと約140日生存させることに成功したばかりか、さらには生きたまま発送することまで実現してしまったのだ。

「日本一の漁獲量を誇る、小川原湖のしらうお。さらにその価値を高めるために、生きた状態で楽しんでもらえないだろうかと思ったんです」と語る蛯名さん。しらうおの活魚化を思い立った当時は、横浜の老舗すき焼店の料理長として腕を振るっていた。いつかは、愛する故郷で自分の店を開き、しらうおを提供できればと夢を温め続け、しらうおの生態を地道に調べ続けた。そして地元に戻り、ついにレストランをオープン。

「しらうおを生きたままテーブルにのせる」という決意を胸に、本格的にしらうおへの活魚化を進めるべく取り組みをスタートした。研究にあたって、蛯名さんは東京大学のしらうおの権威である教授のもとにも意見をうかがうべく、足を運んだ。教授はキッパリ言った。 「しらうおの活魚化は期待しないほうがいい」しかし、蛯名さんはあきら
めない。 「生きていたものが、いきなり死ぬわけがない」確かに、おっしゃるとおりである。高校時代は生物部に所属。テーマは「小川原湖のプランクトン」。小川原湖の調査研究にかけては筋金入りである。

蛯名さんの挑戦がはじまった。しかし、やっぱりことはそう簡単ではなかった。まず、そもそも生きたしらうおを入手することが大変だ。なにせ船が港に到着した時点で、大半が死んでしまう。漁師に頼むしかない。「『しらうおを生かすなんて、そんなことできるわけない』と相手にされないこともありました」仕方あるまい。もはや、漁船ジャックだ。蛯名さんは、しらうお専用容器を携えて漁船に乗り込んだ。

せっかく生きたしらうおを入手しても、水槽に入れるまでに死んでしまっては元も子もないため、容器も工夫に工夫を重ねた。しらうお専用容器は丸型。四角い入れ物では、しらうおが四隅にかたまって折り重なって死んでしまうからだ。さらにしらうおが生きやすいであろう濃度に調整した塩分の水を入れる。さらに、なんとか苦労して仕入れたしらうおを、生きたまま運ぶのもひと苦労。車に乗せて振動を与えないよう、細心の注意を払いながらも大急ぎで専用水槽へ運ぶ。

しかしどれだけ気を使っても、到着までにしらうおが息絶えてしまうこともある。「容器に入れたときには元気だったのに、水槽に入れようとしてふたを開けたら、一匹しか生きてなかったってこともあるんです」としょんぼり話す蛯名さん。小川でとってきたメダカが死んでしまって、ガッカリした少年のような表情だ。

 

 

posted by タマラオ at 04:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記