2014年11月06日

空気よりも汚れている中国の土と水 No3

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鈴木さんは次のように話す。
「中国では、すでに全国規模で農地が重金属類と農薬で汚染されています。その1つの要因は“河川”にあります。日本の河川は山地から流れ出し、海へと到達する距離が短く高低差があるため、汚染物質をあまり残しません。一方、中国の川は距離が長く勾配がありません。そのため、重金属類などの汚れがどんどん河床に溜まっていきます。そうやって汚染された川の水が農業用水、生活用水として使われているのです」

「また中国の農薬は半減期(土壌中の濃度が半減する期間)が問題です。日本では半減期を最大で半年と設定していますが、中国の場合は基準が曖昧なのです」 こうした汚染は、日本で生活する日本人にとっても無縁ではない。鈴木さんは続ける。 「中国の農産物を輸入する際、残留農薬をチェックすることはできても、植物体に取り込まれた重金属類までは検査していません」

やっぱり必要な日本からのサポート
中国では大気汚染の解決がようやく国家的課題となったようだが、土壌汚染との闘いはこれからだ。そこに必要とされるのが日本のサポートである。 前述のように、日本でもかつては企業が工業排水を海や川に垂れ流し、また土中に穴を掘って埋めていた。だが、公害反対運動を経て1967年に公害対策基本法が制定され、それに続き大気汚染防止法(68年)、水質汚濁防止法(70年)、悪臭防止法(71年)などが立法化された。

1975年には民間の公害防止関連投資額は約9650億円に達した。GNPの2%に相当する世界でも例を見ない莫大な投資であった。 こうした過程で蓄積した技術と経験によって、現在の世界一の環境保全技術が出来上がったのである。その後、経済協力開発機構(OECD)や国連が各国に対しGNPの2%を公害対策費用に充てることを提唱しているが、これは日本にならったものである。

調査研究や技術開発で中国でも名を知られる鈴木さんのもとには、中国地方政府からの訪問や技術サポートの要請もある。それに応じて鈴木さんは何度も中国を訪れた。 筆者は、中国の土壌汚染を解決するために、今後どんな取り組みを行っていくのかを鈴木さんに尋ねてみた。だが、返ってきたのは意外な返事だった。 「中国でやるつもりはありません」 その理由を鈴木さんは次のように打ち明けた。

「正確に言えば、数年前までは中国に対して自分の経験やノウハウを教えたいと思っていました。日本が犯した間違いはやるなよ、と啓発したかった。けれども、その考えは変わってしまいました」 鈴木氏の考えを変えてしまったのは、鈴木さんを訪ねて来日したある地方政府の役人の一言だったという。 「私たちはしょせん3年しか任期がありません。その間に注目を浴び拍手喝采される事例を1つでも作れればいいんです」

この役人、うっかり本音を漏らしてしまったようである。だが、鈴木さんはその程度の考えでしかないことを知り、愕然とした。 中国の役人にとって土壌汚染は他人事でしかない。汚染されているのは祖国の国土なのに、“国土防衛”をなぜ日本人がやらなければならないのか。役人たちは表向きは確かに一生懸命だ。だが、それは在任期間だけで、自分が離れてしまえばあとはあずかり知らぬこと、というわけだ。

 

 

posted by タマラオ at 05:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記