2014年11月05日

空気よりも汚れている中国の土と水 No1

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JB Press 2013.12.03 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39328

姫田 小夏 ; 中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務等を経て97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、東京で「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」を主宰。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ひと、こころ」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。目下、30年前に奈良毅東京外国語大学名誉教授に師事したベンガル語(バングラデシュの公用語)を鋭意復習中。

懸念される公害病、頼みの綱は日本の技術だが
2013年8月、中国メディアの「消費者報道」が、ある日本人を取り上げた。記事のタイトルは「鈴木喜計;中国急需为土壤污染立法(鈴木喜計さん;中国は土地汚染の立法化を急げ)」。日本人専門家が中国の土壌汚染に警鐘を鳴らすという内容であった。 2012年の反日デモ以来、中国メディアが日本人を取り上げるケースは少なくなった。ましてや大国意識を強める中国が、日本の経験に学ぶという姿勢はなおさら希薄だ。

そんななかで、このインタビューは、中国の土壌汚染を克服するために日本の技術や経験に学ぼうという意図を含む、昨今珍しい記事でもあった。

千葉県木更津市で「君津システム」という会社を経営する鈴木喜計(すずき・よしかず)さんは、公害問題の専門家でもある。特に土壌・地下水汚染の分野では、独自の調査・浄化手法を自ら開発、体系化し、学会や行政プログラムを通じて3000人を超える国内外の研究者・技術者を輩出している。 また、環境地質学を創造した研究者であり、国内外で150を超える汚染現場の完全浄化を果たした「土壌・地下水汚染の調査と浄化の第一人者」である。日本では2003年から「土壌汚染対策法」が施行されたが、この立法化にも尽力した。

「こりゃダメだ」と思った肥料工場跡地
鈴木さんの調査研究や技術開発は、今や中国も注目するところとなっている。 「消費者報道」の記事は、鈴木さんが2008年に広東省の肥料工場の跡地を訪れたときの様子を取り上げている。この土地は、中国最大手のデベロッパー、万科企業がマンション開発をした敷地で、汚染された土地の上で進行する建設をめぐり住民との対立が続いていた。記事は、汚染状況を測定した鈴木さんを次のように描写した。

「土壌の表層から深さ9メートルに達したとき、鈴木氏に驚きの表情が表れた」
その土地の汚染はどれほどのものだったのか。筆者は木更津市の鈴木さんを訪ねた。鈴木さんは具体的な数値こそ明かさなかったが、そのときの様子を次のように語った。 「こりゃダメだ、と思いましたね。その土中からはベンゼンなどの化合物が検出されましたが、これは白血病の原因ともなります。それ以外にPCB(ポリ塩化ビフェニル)や農薬も検出されました。 土壌汚染には、下から上がってくる揮発性の有機化合物もあれば、水中に溶け出す重金属類もあります。けれども、中国政府が問題視しているのは重金属類だけ。土壌汚染を規制する法律もなければ、基準値もないに等しい状況なのです」

中国の国土は10%が汚染されている
中国では、ブルドーザーが土地を整地してどんどんマンションを建てているが、都市部のマンション用の土地は、大半がもともとは工場用地だと言っていい。近年は工業用地の多くがマンション用地に転用され、多くの住民は汚染の上での生活を余儀なくされている。そのため「中国のマンションの多くは土台そのものが汚染されています」(鈴木さん)という。 この問題は広東省だけに限った話ではない。上海もまた同じである。

 

 

posted by タマラオ at 05:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記