2014年10月31日

深層中国 ?巨大市場の底流を読む No3

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しかしもう少し広い視点で見てみると、人々が豊かになり、自動車という新たな「ぜいたく品」が普及したことで、その「ぜいたく」を支える「技」を持つ大量の人材が必要になった。しかし、その供給が間に合わないので、その「技」を持つ人材の価値が急上昇している――ということになる。 社会が豊かになって生活のクオリティが上がると、その
「質」を支えるために大量の新しい仕事が生まれる。豪壮なビルを建てれば、外壁を清掃する人が必要になる。

人がお洒落をするようになれば、美容師が求められる。そうした仕事の大半は「現場」の仕事である。伝統的な「文」=「官」志向の強い中国社会では、あまり社会的な地位は高くない。でもいま中国社会で最も求められているのはこうした具体的な「技」であって、それを持つ人の賃金が上がる。こういう状況が続けば、次第に世の中の観念も変わってくるだろう。これは中国の社会にとってよいことである。

月収20万円の建設労働者
賃金が上昇しているのは自動車修理工ばかりではない。例えば建設工事の世界もそうである。中国ではいま「都市化」が大きなテーマになっていて、農村から都市部に数億単位の人が移り住む壮大なプロセスが始まっている。仮に2億人を新たに都市部に定住させようとすれば、そのためだけでも数千万戸の住宅が必要になる。上海もそうだが、近隣の蘇州や杭州をはじめ、武漢や成都、重慶など地方の拠点となる都市の周辺では大規模な住宅建設プロジェクトが数えきれないほど進んでいる。

そうした建築の現場でも「技」を持つ人材の賃金が急激に上昇している。多くの現場では型枠工や鉄筋工などの技能労働職種の賃金は1日当たり300〜400元(4800〜6400円)に達している。仮に1日5000円、月に25日働けば12万5000円、これに残業(長時間労働)や休日・祝日労働の割増分などがつくと、1カ月に1万元(16万円)ほどの収入を得ているケースは決して珍しくない。夫婦の月収を合わせると20万円を超える。これが中国の、それなりの技能は持っているとは言うものの、決して特殊な例ではないブルーカラー層の賃金水準である。

参考までに、東京の型枠工の賃金をインターネットで検索してみると、1日当たり1万7000〜1万8000円程度らしい。だとすれば、中国の賃金水準は日本の3分の1に満たず、まだまだ低い。しかしながら、2000年当時の記録を見ると、中国のこうした技能労働者の賃金は1日あたり500〜700円、月収2万円程度であったことを考えれば、まさに隔世の感がある。

 

 

posted by タマラオ at 07:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記