2014年10月17日

巨大市場の底流 No1

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「現金化」する中国の農地〜6億農民が資産家になる日 WISDOM 2013年12月20日 https://www.blwisdom.com/strategy/series/china/item/9364-55.html

田中 信彦 ; 中国・上海在住。1983年早稲田大学政治経済学部卒。毎日新聞記者を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、大手カジュアルウェアチェーン中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。

中国で先ごろ、共産党の重要な会議があって大胆な政策がたくさん決まった。その中に、これまで売買や貸借が原則的に禁止されてきた農村部の土地の「現金化」に道を開く明確な方向性が打ち出された。これによってこれまで「耕作」か「出稼ぎ」しか収入の途がなかった中国6億の農民が、一気に土地という資産を手にする可能性が出てきた。うまくいけば中国が真の大国に成長する基礎になり、一歩間違えれば天下大乱という政策だが、果たしてどうなるか。

中国都市部の「夢のような善政」
今年11月、中国共産党の5年に一度の重要な会議があり、そこで中国の将来に大きな影響を及ぼす政策がたくさん決まった。会議の名称は「中国共産党第 18 期中央委員会第三回全体会議」(略称・三
中全会)、発表された決議は「改革を全面的に深化させるための若干の重要問題に関する中央委員会の決定」というのだが、現実に実行できるかどうかは別として、内容的には大胆な改革のオンパレードで、これが実現すれば中国の社会構造は今よりはるかに良くなるだろうと思わせるものがある。

目玉はいくつもあるが、そのうち最も重要だと考えるのは農村の土地問題に関する部分だ。 言うまでもなく土地政策は社会の発展に決定的に重要である。どこの国でも、
普通の国民がまとまった資産を持とうと思えば、経済発展前の地価が安い時期に不動産を買い、それが経済成長のプロセスで値上がりするというパターンが最も確実である。日本もかつてはそうだったし、香港やシンガポールなど戦後の成長したアジアの大都会もそうだし、上海や北京など中国の大都市はまさに今その渦中にある。

そうやって多くの中産階級が誕生して、購買力がつき、教育水準も上がって社会が安定していくものだろう。 いまや上海の私の周囲にいる友人たちは、ほとんど例外なく数千万円
以上の資産を持っている。これは一部の金持ち層というわけではなく、職業や学歴を問わず、マンションのガードマンさんでも、駐車場の料金収受係のおじさんでも、1990年代に中国都市部の住宅制度改革が始まる前から市街地に生まれ、育ってきた人なら、いずれ相続するはずの親の資産も含めれば、ほぼ全員がそうである。

このあたりの仕組みは過去の連載で紹介したのでぜひ参照していただきたいが、要は本格的な経済成長が始まる前に土地(の使用権)を国家が市民に無償もしくは安く配分したからである。こういう場合、通常は土地の増値ぶんの相当部分を税金という形で国に取られるものだが、中国にはいまだその種の税金がないので、場所によっては数十倍という地価の上昇分が全て住民の資産になった。これは都市部住民にとっては夢のような「善政」であったと言えよう。

都市部によって搾取された農村
しかしその一方で、農村部に関しては土地の所有概念が全く違い、農民(農業戸籍の人々)は自分が耕している田畑や山林、居住地などを売買したり貸借したりする権利がない。詳しい制度の説明は省くが、都市部住民(非農業戸籍者)が住む土地の所有権は国にあり、住民はその使用権を売買もできるし、貸借も担保に差し出すこともできる。つまり国有の土地の使用権には私有財産権が確立している。それに対し、農業戸籍の場合、土地の所有権は農業集団という、自分もその一員である地元の共同体にあり、国有とは異なる概念になっている。

 

 

posted by タマラオ at 06:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記