2014年10月11日

香港の雨傘革命      No5

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大学生の組織である香港大学生連合(学連)でこの組織のリーダーは事務局長である周永康(アレックス・チョウ)、ティーンエイジャーを中心とした学民思潮(学民、スカラリズム)の代表は17歳の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、そして大人の活動家を中心とした和平占中(オキュパイ・セントラル)の発起人は戴耀廷、陳建民、朱耀明の三人。金融街占拠によって香港経済と社会を混乱させるという戦略を最初に打ち出したのは和平占中だが、実際に占拠活動を指揮しているのは学連と学民で、学生たちに和平占中のことを聞くと、「彼らは学生の運動にのっかっているだけだ」と批判的だ。

しかも、和平占中の要求と学生たちの要求は微妙に温度差がある。民主党・民主派議員も参加する和平占中は「公民推薦候補」要求に関しては躊躇がある。公民推薦は香港のミニ憲法にあたる基本法では認めていないというのが建前の理由だが、ハードルの高い公民推薦ではなく、民主党も含めた政党推薦候補なら中国側も妥協するのではないか、という目論見もあるようだ。

「リーダーはいない。自発的に行動しているからいい」
学生の中には民主党は水面下で中国側と交渉している「売国奴政党」だという見方もある。既成政党全般に対する不信もあるようで、「政党の人間にはこの運動に関わってほしくない」といった意見も聞かれた。「では、学連、学民、和平占中のメンバーは仲が悪いのか」と聞くと、「いや、ちゃんと協力している」とは言うのだけれど。 また占拠に参加している学生たちに「君たちのリーダーは誰だ?」と聞くと、だいたいが「リーダーはいない。一人一人が考えて行動している」と答える。

「アレックス・チョウではないか?」「ジョシュア・ウォンではないか?」と聞くと、まあ、そうだとしぶしぶ答える人もいれば、「アレックス・チョウは少しひよっている。彼のやり方に賛成でない部分もある」と答える人もいる。「ジョシュア・ウォンよりはアグネス・チュー(副代表)の方がいい」という人もいる。さきほどのクリスタも「リーダーは不在。もし、アレックス・チョウをリーダーと認めていたら、彼のやり方に反対の人は運動から離れていきます。でも、彼はリーダーじゃないから、彼と意見がちがっても、みんな運動には参加するの。一人一人が自発的に行動しているからいいのよ」と話している。

こういう組織内部の統一のとれていなさは、運動のあちこちで実際に目にした。
たとえば2日は学連側が、梁振英行政長官に対話に応じるようにリミットを設けて要求。翌朝3日午前8時まで、梁長官が学生の前に姿を現せねば、東西を結ぶもう一つの幹線道路・龍和道を封鎖すると警告していた。だが、2日午後に、警察側が救急車にゴム弾など武器を積み込んで秘密裡に行政長官オフィス前の部隊に持ち込んだことが発覚、この警察の態度に怒った学生たちが、一時的に龍和街を封鎖したことがあった。学生同士で、封鎖する、いや封鎖してはいけない、といった押し問答もあった。

戦略が決められても、その戦略通りに末端がうごかない場面もあった。2日夜は、警察が武器を準備していたこともあり、警察が武力による強制排除をしかけてくる可能性があると私も思って、行政長官オフィス前の警察と対峙する場所で緊張して推移を見守っていた。結果的に、日付の変わる直前に林鄭月娥(キャリー・ラム)政務官が学生と対話の用意があると発表し、学連側が対話に応じる姿勢を見せたので、この日の警察との衝突は回避されたが、この時も「対話に応じるな、奴らの時間稼ぎに協力せずに、今すぐ龍和道を封鎖すべきだ」という対立意見が飛び交っていた。

市民の罵声と学生の迷い、そして混乱
3日の銅鑼湾(コーズウェイベイ)の占拠現場も、同様の混乱があった。ヘネシーロード、怡和街も学生たちに占拠されていたが3日昼ごろは、占拠人数が30人以下に減っていた。そこに警察が突然やってきて、バリケードを撤去しはじめた。複数の香港市民が「学生は学校にいけ!」「お前たちがやっていることが、どんなに経済に悪影響を与えているのかわかっているのか!」といった罵声を浴びせかけた。市民の罵声のせいもあって、学生たちはバリケードをしぶしぶ撤去しはじめた。

だが、銅鑼湾の占拠撤去の情報がながれると各地から銅鑼湾に再び学生が集まり、また学生を擁護する市民も集まり、学生に声援を送り、結局、撤去しかけたバリケードは戻され、規模は縮小したものの占拠は維持されることになった。銅鑼湾の学生たちの逡巡をみても、彼らの中にも迷いや不安、葛藤があり、一枚岩でまとまっているわけではないようだった。

 

 

posted by タマラオ at 05:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記