2014年08月25日

エボラ出血熱の治療薬が簡単にできない理由 No2

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40年近くたってもエボラの治療薬が開発されていない理由の1つがそこにある。患者数が世界中に百万という単位でいたら、すでに治療可能な感染症になっていたかもしれない。 今年になって感染者数は増えているが、1976年の発生から昨年末までの総患者数は2000人に至っていない。端的に言えば、製薬会社が数百億円をつぎ込むことが「できない」感染症という位置づけなのだ。

さらに、前述したように新薬の認可には臨床治験が必要で、そのためには数多くの患者さんと服用期間が必要になる。エボラは残念ながらその両方で治験向きではない。 ただ今年の蔓延は、これまでの流れを変える勢いがある。カナダの製薬会社テクミラ社の実験薬「TKM-Ebola」は動物実験でこれまで文句のないデータを出している。 今後感染者に投与される可能性があるTKM-Ebolaは、米国防総省との契約で1億4000万ドル(約143億円)もの投資を受けて開発されている。

新薬開発の大半は先進国向けという"事情"
ギニア、エボラ熱拡大で非常事態宣言 エボラ出血熱の蔓延で非常事態宣言を出したギニアのアルファ・コンデ大統領  こうした政府からの支援なしでエボラの治療薬の開発は難しい。同社株は8月初旬、ニューヨーク株式市場で10%以上も高騰しており、新薬開発とマネーは切っても切れないことがここでも露呈した。 また、マップ・バイオファーマスーティカルという製薬会社は「ZMapp」という薬剤を開発している。

ZMappは米ジョージア州アトランタで隔離治療を受けているエボラ感染者2人に投与された。スペイン人神父にも投与されたが、神父は他界。数人のデータだけではZMappの本当の効果は不確かなままで、ここにエボラ治療薬の開発の難しさがある。 ワクチンについては、英大手グラスコ・スミスクライン社が開発しているものが来月、いよいよ臨床治験に入る予定だ。さらに米プロフェクタス・バイオサイエンスのワクチンも治験前段階まで来ている。

世界中に難病と言われる病は少なくない。治療法が確立されていない場合も多い。「現代の医学では、、、」という言い方がされるが、世界中に患者数が100人しかいないと、製薬会社は動かない。いや動けない。新薬は世に出ないのだ。
世界中で使われる医療関連の研究開発費は2013年、約23兆円にのぼった。そのうち21兆円が先進諸国向けだ。エボラや風土病と言われる感染症などには多額の予算がつかないのが現実だ。

コストと患者数の相関関係によって新薬の研究開発が進むか足踏みするかが決まるが、倫理的な観点からはどの病であっても治療法が求められるべきではある。 私見では、エボラの患者数が多ければ、抗ウイルス剤の研究開発はエイズよりも迅速に進んでいたかもしれない。単に患者数が少なく、しかも発症する地域がアフリカということで研究が進捗してこなかった可能性が高い。 ペイしないことは分かっているが、世界に拡がりつつある感染を止めるためにも、官民一体で薬剤開発に取りかかるべきである。

 

 

posted by タマラオ at 06:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記