2014年08月03日

富士重、大躍進の秘密は発想法にあった  No4

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他社と同じでは真っ先に負ける
「当時の議論は今でも鮮明に話せるくらい印象に残っている。確からしさというのは、少し難しい言葉遣いだけど、考えて考えて導いた言葉でした」(吉永社長)それから歳月は過ぎ、森郁夫前社長時代にブランド・ステートメントを考えることになった。当時、技術本部長だった馬渕晃・現専務が、若手社員とともに、「スバルとは何か」という議論を4カ月ほど続けた。その結果、導いたのが「信頼」だった。 

社内の反応は、「時間をかけて議論したのに普通で面白くもなんともない華やかさもない言葉しか出ないのか」というものだった。しかし、吉永社長はこのとき確信を得た。 「完璧にこれで合っていると思いました。20年前の確からしさと同じ答えなんですから。パッとわかりやすいかどうかではなく、本質を突いているかどうかが大切。歴史に根ざしていない言葉には迫力がない。あとはトップが発信するだけ」 それからというもの、吉永社長はことあるごとに「安心と楽しさ」と語ってきた。

そのかいあって、いまでは富士重の社員の間で、このキャッチフレーズは驚くほど浸透している。幹部だけでなく、現場の若手社員も「安心と楽しさ」と口にする。新型車の開発現場でも営業現場でも、同じ方向を向いて仕事をしている。富士重を長く見てきた自動車アナリストの中西孝樹・ナカニシ自動車産業リサーチ代表は、「会社そのものが塊のようになって、目指す方向に向かっている。企業としての強さがある」と評する。 

「他社と同じことやって規模が勝敗を決する方向の戦いに出て行ったら、おそらく真っ先に負ける。言い過ぎかもしれないけど、弱い。そうじゃない戦い方をしないと存在できない」富士重が見つけた生き残りの道は、ライバルに劣る経営資源を、強みに集中投下することだった。会社が歩んできた歴史に裏打ちされたアイデンティティーを繰り返し議論することで、経営層だけでなく、社員たちの方向性までを1つにしようとしている。 

「弱点の克服から長所での勝負へと振り向けたことで、社内がすごく明るくなってきた」。吉永社長は頬をゆるめる。富士重が今後、さらなる躍進を遂げるのか、注目したい。

 

 

posted by タマラオ at 07:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記