2014年08月02日

富士重、大躍進の秘密は発想法にあった  No3

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一方で、富士重は高コスト体質だと指摘されることも少なくない。相当な原価低減を進め、筋肉質になってきてはいるものの、規模が小さいためコスト競争力で見劣りするのも事実だ。この欠点を吉永社長は、こう説明する。 「飛行機会社だから素材も良いモノを使いたがるし、設備も良いモノを入れたがる。だからコストが高い。それはそれで直していかないといけないけれど、欠点の議論をしていると、ここがトヨタさんに負けてる、ここも負けてるという繰り返しになって突破口が見つからなくなる。

そうすると、だんだん辛くなる。一度、欠点の議論はやめて、強みは何かという議論に集中することにしたんです」 では、飛行機会社をルーツに持つ富士重の強みはどこにあるのか。飛行機会社だからこそ、社内で定めている安全基準が非常に厳しい。安全基準が厳しいからこそ、クルマの基本性能である「走る」「曲がる」「止まる」を妥協なく作り込む。

強みは安全、安心と認識を新たに
富士重の社員たちは内心、「安全性能なら他社には絶対に負けない」と思っていた。だが、自分たちにとって当たり前すぎて強みだと認識できなかったのだ。 「僕らの強みは安全、ひいては安心なんだ」と認識した富士重。それならば、ぶつからないクルマだって作れるはずだといって出てきたのが、国内販売躍進の立役者、衝突回避システム「アイサイト」だった。アイサイトの実現技術は、飛行機の無人航行技術から派生したものだ。

安心こそが強みなのだから、それを実証しようと認証取得にも取り組んだ。例えば、米IIHS(道路安全保険協会)で安全性能の最高評価である「トップセーフティーピック」を全車種で取得した。さらに、9月27日には、IIHSが世界で初めて自動ブレーキの第三者評価結果を発表。「レガシィ」と「アウトバック」だけが最高の6ポイントを獲得した。 いまや北米では「SUVを買うならスバルを検討してから」と言われるほどになった。日本でも新車販売の約8割強にアイサイトを搭載する。

アイサイトの対応車種は上級グレードが多いことから、利益率を押し上げることにもつながった。 吉永社長が掲げる中期経営計画のキャッチフレーズは「Confidence in Motion」と「安心と楽しさ」。信頼、安心、
楽しさという、並べてみると自動車メーカーとしては、あまりに当たり前に聞こえるキャッチフレーズを選定した背景にも、スバルらしさを問う議論があった。 富士重は過去に複数回、スバルらしさとは何か、という議論をしている。

20年ほどまえには、有志の役員たちが集まって「ソフトミーティング」という会合を持っていた。若き吉永社長は、メンバーに入るような立場にはなかったが、議事録を毎回見ていた。 「デザインも褒められたものではないし、宣伝もうまくない。俺たちの会社はどうしようもない」というところから議論は始まった。だが、何回か議論を重ねていくうちに、「それでも富士重は潰れていない。なぜなんだろう」と論点が変わっていった。

当時の役員たちが導いた強みは、「確からしさ」だった。この議論から「SI理念」という言葉が生まれた。スバルのSとアイデンティティーのIから取ったものだ。

 

 

posted by タマラオ at 05:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記