2014年07月30日

日産の設計革命、脱プラットホーム共有化戦略 No4

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予め決められた部品や標準化された技術を組み合わせていくという意味で、レゴブロックを組み合わせていくイメージに近い。同じような「脱プラットホーム」に取り組む海外メーカーもあるが、部品のバリエーションを制限するという発想に重点が置かれているように思える。すなわち「部品屋主導」の「脱プラットホーム」といった感がある。これに対し、日産の取り組みは、車の構造全体を見渡す「車両開発主導」の動きに見える。

CMFを進めるにあたって仕事が擦りあわせ的という点では、こんな事例もある。車両計画や車体、電子、部品設計などの関係部署を全部集めて、CMFの事務局がモジュールの構成と部品の共用化案を提示した後、対応できないケースがあれば、その理由をエンジニアに個別に徹底してヒアリングしたというのだ。CMFプロジェクトの初期段階では多くの工数がこのヒアリングに当てられたという。

未知の世界への挑戦でもあり、本当にできるかできないかを慎重に判断しなければ、プロジェクトがスタートしても暗礁に乗り上げるリスクがあったからだ。  09年5月にプロジェクトがスタートし、09年
11月時点で850の「できない課題」があった。現状ではできないが、これをどうすればできるのかを解決していくことが次の仕事となった。  たとえば、ステアリングの上に「コンビスイッチ」
あるが、日産とルノーでは位置も操作方法も違うし、日産車とインフィニティ車でもまた違う。

経験や文化の違いが影響しているからだが、スイッチひとつとっても設計の考え方を共通化していく必要があった。たかがスイッチだと思うかもしれないが、ここをクリアしないとステアリングコラムやパワステなど設計にまで影響してくるのだ。 こうした課題を整理して一つひとつ解いていくためにルノー側も入って「JWT(ジョイント・ワーキング・チーム)」ができた。(1)大きな車両構成を考える(2)CMFのスコープを定義する(3)部品ごとの問題解く――といった観点で活動するチームだった。

特に(3)の活動のウエートが大きく、「USFT(アップ・ストリーム・ファンクショナル・チーム)と呼ばれ、ランプやサスペンションといった機能ごとに78チームできた。そのチームリーダーに共通化とモジュール設計を可能にするための権限を与えた。 さらにCMFによってサプライヤーも含めた製造現場の在り方も変わってくる。た
とえば、これまでは車種ごとにシートフレームが違っており、1タイプで10万台程度しか生産していなかったが、CMFで共通化を推進することで、1タイプでルノーと日産を合わせて300万台以上をカバーしなければならなくなる。

そうなると、「溶接手法から見直さなければ1タイプで300万台以上の大量生産はできないかもしれない」と坂本常務執行役員は語る。さらに「自動車産業ではこれまで、部品メーカーは完成車メーカーの海外進出に合わせて一緒に海外に出ていたが、先進国で自動化による大量生産で対応し、輸出する方がメリットも出るケースがあるかもしれない」と言う。  CMFを成功させるためには、
開発と生産技術の融合もひとつのポイントとなるのだ。

CMFプロジェクトを牽引してきた坂本常務執行役員の担当は今年4月1日付で生産技術本部に変更になった。開発から生産技術への異動はこれまでの日産では極めて異例だ。 日産のCMFは大きな「設計革命」である
と感じる。世界の競合メーカーも、手法は違いながらも同じような狙いで、車造りの改革に取り組んでいる。優劣はつけられないが、自動車の設計に大きな変革の波が押し寄せているのは確かだ。

 

 

posted by タマラオ at 06:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記