2014年07月25日

グローバル市場で負けないものづくり No4

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デザイン主導で生産技術の制約を排除
トヨタの開発改革に話を移すと、特徴的なものとしてデザイン至上主義への転換が挙げられる。これまでのトヨタでは製造ラインを構築する生産技術部門の力が強く、デザインを変えてもプレスで生産技術が対応できなければ、デザインを見直す傾向にあったが、こうした仕事の進め方も見直す。生産技術上の制約を排除し、デザイン優先の風土を根付かせるためだ。 たとえば、車体にシャープさを出すために、デザイナーがプレスで深い絞りをいれたいと思った場合、これまでは生産技術は対応する金型がないことを理由にデザイナーの要求を却下できていたが、こうした仕事の仕方を見直す。デザイナーの要求通りに設計し、生産していく体制を確立させたい考えだ。

今回公開したインパネの「ステッチライン」をデザイナーの要求通りに入れていくミシンの開発も、こうした流れの中から出てきた動きだ。これまではインパネの構造上、貼る前に縫い目を入れてそれを貼りあわせていたが、貼り合せた後に新開発の立体構造のものも縫えるミシンでデザイナーの指示通りに縫い目を入れていく。 トヨタはデザインという上流部から自動車づくり全体を見直していくことで、車の開発や生産技術、流通にいたるまで「バリューチェーン」全体の最適化を図る狙いもあると見られる。 もう少し詳細を説明すると、「もっといい車づくり」は(1)トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)(2)R&Dとデザイン体制の強化――によって構成されている。

TNGAではまず、トヨタの総生産台数の50%に相当する前輪駆動(FF)系プラットホームから設計革新に取り組む。「ヴィッツ」「カローラ」「カムリ」の3つのプラットホームに集約し、この3つをベースに複数の車種を開発し、部品や構造(レイアウト)の共通化などを進める。

プラットホーム戦略が大きく転換
冒頭で述べた従来のプラットホーム共有化と大きく違うのは、デザイン・設計の源流段階から10年程度先までの商品を同時進行で開発していく点だ。将来出す製品でも一気に部品の共通化を進めていく。 これまでのトヨタの開発スタイルは、プラットホームを共有化していると言いながらも、個別の車種ごとにチーフエンジア(CE)が存在しているために、搭載する部品は個別に設計したり、後発車種では設計を大幅に見直したりするなど、個別最適の設計をしているのが実態だった。

ここを見直す。プラットホームが同じあれば、部品や構造(レイアウト)を徹底して共通化する。たとえば、同じプラットホームでも、車種によってエンジンルーム内のレイアウトは違っていたが、今後は統一化していく。これにより部品や取り付け作業の共通化も進み、効率性が増すと見られる。 ただし、価格や車格によって性能は当然違ってくるので、性能までも共通化することはしない。部品やレイアウトの共通化を推進しながらも、「車の味付け」は変えるという力がエンジニアには求められる。そこを見誤ると、お客から「コスト優先の車づくり」との批判を招きかねないからだ。

 

 

posted by タマラオ at 15:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記