2014年06月09日

ワイン文化を支える欧米の富裕層とオークション   No6

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1本単位で、購入経路が分からないと売りにくい
一方、日本ではワインを集めて所有している愛好家は多いですが、売る事を前提に購入される方はあまりいらっしゃらないようです。 私も国内の愛好家の方から、「ワインを手放したいので、売れないですか」とオファーを受けることがあります。ただ、日本の愛好家の方は、各ワインを1本ずつしかお持ちでない場合が多いのです。よほどのレアなワインでない限り転売することはほぼ不可能です。なぜかというと、1本単位の場合は、そのワインがどういった経路を経てきたか判断するのが難しいからです。

12本や6本などの「ケース単位」になっていて、シャトー(ワイナリー)の木箱に入っていると、信頼性は格段に上がります。だから、アメリカの資産家などが、資産としてワインを購入する場合には、ケース単位で購入しています。 日本のオンラインオークションなどで扱われるワインは、本来の価値よりも安く取引されることが多いのですが、それには出品されるワインの状態が分からず「信用」が欠けているという理由があるのかもしれません。

日本はワインの保管にもお金がかかる
ケース単位でまとめて買うと、当然、置き場所にも困ります。日本は高温多湿の国ですので、ワイン専門のセラーに保管しなければ品質の劣化が進みます。低温管理してくれる専門業者もありますが、残念ながらあまり安くありません。その点アメリカは国が広く地震の心配もありませんので保管料がとても安いのです。しかし最近は高級ワインの盗難が増えてきましたので、セキュリティー強化などにより少々保管料も値上がりしてきたようです。

また、ニューヨークのアッパークラスの人は、ハンプトンなどに別荘を持っている人が多く、そこにワインを保管している人もいます。 少し余談になりますが、アメリカの場合は、所有しているワインの出口がもう一つあります。それはレストランへの持ち込み(Bring Your Own Bottle, BYOBと呼ぶ。BYOと呼ぶこともある)です。特にニュー
ヨークでは、多くの人が日常的にワインをレストランに持ち込みます。

もちろんワインの持ち込み料を請求されますが、高価なワインは持ち込み料を払ってもBYOBをした方がお得ですし、レストラン側も持ち込むのはウエルカムです※。特にワインのビジネスをしている人たちに対しては、持ち込み料を請求しないレストランがほとんどです。※一方で、持ち込み料を上げる店もある。最近、ナパの有名フレンチレストラン「ザ・フレンチ・ランドリー」がワインの持ち込み料を大幅に上げたことがニュースになった。

日本でも、持ち込める店は増えつつありますが、自分が持っているワインをレストランに持ち込んで飲むという習慣はあまりないようですし、レストランも受け入れる感じではありません。日本ではせっかくいいワインを買っても飲む機会や場が少ないと感じています。 何万円もする高級ワインはおいしい食事とともにクリスタルのワイングラスで、ソムリエのサーブで飲めば味も格別です。また、気の合う仲間や大勢の人とシェアして味わうのもワインの醍醐味と言えますが、自宅ではなかなかそういった機会を作る事ができません。

そんなときは気軽にレストランに持ち込んで飲みたいですよね。またアメリカで圧倒的にビッグフォーマット※の需要が多いのもパーティーや大勢でシェアして飲む機会が多いからです。日本でもそんな習慣が広がったらいいなと思います。
※通常ボトル(750ml)よりも容量の多い、マグナムボトル(1500ml)やダブルマグナム(3000ml)などの大きなサイズのボトルのこと。

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ワインに対する姿勢、考え方がアメリカと日本でかなり違っていることが、理解していただけたのではないでしょうか。もう一つ、指摘しておきたいのは、ワイン文化の裾野の広さです。日本でのワインはまだ、一部の愛好家の飲み物という範囲を超えていませんが、欧米ではごく日常的な飲み物として扱われていますし、普通に身に付けておくべき“教養”でもあります。次回は、“ビジネスパーソンにとってのワイン”を見ていきましょう。ワインはビジネスを円滑に進める、とても重要な潤滑油になっているのです。

 

 

posted by タマラオ at 05:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記