2014年06月08日

ワイン文化を支える欧米の富裕層とオークション   No5

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1870年のシャト―・ラトゥールの6Lボトルの偽造ワイン。ラベルのインクが新しく、コルクを固めているロウの素材も違っている。また、1870年に6Lサイズのボトルが製造されていたかどうかも、シャトーに記録がないため怪しい  ライトにかざして、ワインの色を見たり、澱※の出方とか、瓶内のワインの減り方などすべてをチェックします。例えば、ボルドーの超当たり年である1961年産のワインなら、50年以上前の古酒ですから、正常な状態で保存されていた場合は液面はある程度下がっています(ワインのボトルが膨らみかけた部分の上からその少し下、いわゆるアッパー・ミッドショルダーです)。それ以上減っていてもそれ以上高くても不自然です。フェイクワインでなくても正常な状態で保存されていなかった事が考えられます。

※赤ワインは、熟成する過程で澱(オリ)と呼ぶ沈殿物が出て、ボトルの底にたまる。ボルドーなどの古いワインは澱が出る。また、ワインは保存の過程で、少しずつ中のワインが減るため、古いワインは容量が減る(=液面が下がる)。
クリスティーズやサザビーズなどのオークションハウスで働いているというと、華やかなイメージを持つ方も多いのですが、実際には、倉庫へ行って一本一本チェックするといった地味な作業がとても多いのです。

余談ですが、フォイルを切られたワインをオークションで落札された日本人が、フォイルが切られているから嫌だと返金を要求したことがあります。一方、アメリカでは、フォイルを切って、見ていないと、クリスティーズの怠慢だと指摘されます。経験上、古いワインの場合は、フォイルを切ってコルクの状態を確認しなければいけません。

アメリカでは、ワインを売却することがごく普通
アメリカでのオークション文化を支える重要なポイントは、保有しているワインを売却する事がコレクターの普通の感覚として定着している事です。自分の好みより評論家のコメントを元に将来価格が上がるであろうワインを優先的に購入します
※筆者の経験では、こういった感覚はアメリカ、イギリスで強い。フランスでは、フランス革命後何年間はパブリックオークションが禁止されていたため、ワインを売却するという感覚はあまりない。

どんなワインであれ、バラで買わず、必ずケース単位で購入します。例えば3ケース購入し、1ケースは飲む、残りは売り手市場であれば、売却。買い手市場であれば保存といった事がごく自然に行われています。 ニューヨークでは、メジャーなオークションハウスは2月、8月を除きほぼ毎月オークションを開催します。 週に一度はどこかでオークションが開催されてい
るのですが、それだけ個人や企業が所有しているワインが実際にオークションのマーケットに出てくるという事です。

探していたワインやお買い得ワイン※がオークションに出品されるので買う人も積極的に利用します。売れるから所有者もオークションに出す――。そういったワイン取り引きのサイクルが生まれてきます。※通常、同じ銘柄を比較した場合、ショップやオンラインで購入するよりも安く買える。

 

 

posted by タマラオ at 06:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記